今年一年振り返り⑥「紙風☆スクレイパー」

今年一年を振り返っています。

8月
UDA☆MAP
「紙風☆スクレイパー」

毎年夏の風物詩、UDA☆MAPです。宇田川美樹がPとなり、旬の女優を集めたユニットも来年10周年ですって。いやあすごいなあ。今年のコンセプトは「三国志×ソードアクション×グズグズコメディ」
最初は殺陣ものがやりたいというところから始まったと思います。仮タイトルは「るろうにUDA☆MAP」だったので笑、最初はまさに幕末あたりかなあと話してたと思います。UDA☆MAPには来年シーズン3をやる予定の「新宿☆アタッカーズ」という作品がありまして、それと時代とか雰囲気が近いなあといった話と、今回のテーマソングとなった曲の雰囲気から、中国歴史もの感がいいんじゃないかとなり、三国志の世界観となりました。

まあまあ調べましたね、三国志。全然知らなかったから。劉備とか関羽とか名前を聞いたことあるなあくらいの感じ。僕は戦国武将ものってあんまり響かないんだけど(理由は不明。女脳だから?)、三国志は面白かったなあ。曹操を主人公にした蒼天航路とか。
紙風のほうはと言うと、「蘇快(スカイ)」「外連(クリーン)」「雨引扉(ウインド)」という女三国が中華大陸の片隅にあって…というめちゃくちゃ架空の設定なんですが、だから三国志知らなくても全然いけちゃうんですが、三国志の「志」歴史というより「志(こころざし)」ってなんだろうと、それは知っときたいなと思ったのでした。結局は仲間や師をどう想うかみたいなところに行き着くんですけどね。というわけでどんどん少年ジャンプ化していったこの物語。バトルものってやっぱそういうとこあるよね。いいタイミングで主人公がシャキーンと登場するとか笑。実際にそんなシーンを照れもなく書けるのはUDA☆MAPの面白さのひとつです。

それでちょっとだけ三国志キャラ出たら面白いなと思い、椎名(wキャスト渡辺)が演じたお付きの超委(ちょうい)という役が実は実在した医師・華陀(かだ)という設定にしました。世界で初めて全身麻酔をしたらしいと文献に残っているようです。僕は結構マユツバな話だなと思ってますが。本当は男性でビジュアル的にはよく老人で登場しますが、そこは歴史を想像する面白さということで女性にしました。実は最初は、藤堂演じた舵違羅(だいら・ふりがな全部ふるのめんどくさいな)が、呉の国の有名な軍師・周瑜だったというオチを最初に思いついたのですが、ネームがデカすぎて架空の世界がぼやけちゃうなと思ってやめました。周瑜は確か矢の傷が原因で死ぬのですが、平井杏奈さん演じる義呂李(ぎろり)の矢だったというオチ。一応ラストバトルで刺さってるんですよね。

ソードアクションは大変でしたね。殺陣は藤堂と馬罵琉(バーバル)を演じた山本太陽君。特に長もの(槍と矛)の二人、神刄(じんば)の石井陽菜さんと、儒勢(じゅせ)の舞川みやこさんは苦労してましたね。舞川は努力の人ですよ。ほぼ初めての状態からひたすら稽古してた印象。佇まいもかっこいいし、儒勢は今作のMVPでしょうな。

ひたすら読み仮名ふってるから名前の話。この手の架空の名前はだいたい音の響きから決めます。「じんば」ってリーダーっぽいとか。翔孫(とんそん)と孫豚(そんとん)が姉妹とか(これ稽古場で自分でパニクった)。そこに漢字を当てていきます。今回のお気に入りの名前はなんだろ、儒勢もいいし、あと麓巾(ろっきん)かな。骨都(こっつ)も好き。骨の都ってなんやねん。

グズグズコメディの部分ですが、けっこう感想で「今回はあまりグズグズじゃなかった」と言われました。あんまりそんなつもりなかったんですけどね。UDA☆MAP通常営業のつもりだったんですけどね。昨年の「沼田☆フォーエバー」がクズグズマックスだったからかなあ。でもね、毎年グズグズしてるようで、私的にはグズグズは最後の産物というか、ちゃんと感動だったっり、興奮だったり、物語のど真ん中を描こうとは思ってます。アクションや仲間を想うみたいなところで結構骨太だったのかなあ。

宇田川さん、栞菜さん、市原君が演じたズッコケ探検隊。これ結構大事で、脚本的には難しかったですね。よくあるストーリーテラー的な立ち位置なので都合よく使えるんですけど、だから都合よく使っちゃいけないなと。そこで生まれたのがチョメチョメシステムです。巻物が読めなくなるという荒技。でもそういう風にしないと絶対この3人、そしてこの物語は面白くならないなと思って、歯を食いしばって書きました笑。チョメチョメの語源が山城新伍さんだったというのは忘れてた。

あとタイトル。宇田川さんと行ったお好み焼き屋のおばちゃんのヘラ捌きが凄くて「このヘラなんていうんですか?」って聞いたら「スクレイパーよ」こんな理由です笑。そこから伝説の武器が「ちっさ!」となり、最後落雷の避雷針になるという飛躍。神風にしなかったのは、若林さん演じる洲久姫(すーくひめ)が、最初紙風船で遊んでるイメージから。紙風船出てこなかった!

今年も暑かったですね。UDA☆MAP。7月にしてもお盆明けにしても、暑くなる宿命なのでしょう。本番中に涼しい日があると「あれ?」って思っちゃう。でもついに宇田川Pは来年の公演を9月の終わりに設定しましたよ。これで鬼残暑来たら笑うな。来年は10周年。すでに発表されている通り来年は「新宿☆アタッカーズ」のシーズン3です。グズグズのミステリー時代劇ですな。お楽しみに。

振り返りはあと2公演3作品。大晦日に持ち越しだなこれ。
次回は、
「オトナインデッドリースクール」「オヤジインデッドリースクール」です。

トムコラム