佐藤修幸×松本陽一(2)

※2019年3月1日、都内某所にて

佐藤修幸×松本陽一(2)

グッズラインナップ

松本
ENGさんは、何を売っているんですか?
佐藤
えっと、パンフレット・ブロマイド…あ、ペアブロマイドっていうのもあります。まぁペアに限らないんですけど何人一組かのブロマイドですね。それからENGのグッズを用意してますね。Tシャツやトートバックとか。最近はアクリルクリアスタンドも作ってます。

photo

松本
あぁ!なんか聞いたことある。どんなやつですか?
佐藤
えーと、なんかこうキャラが立ってるみたいな(身振り手振り)
松本
それは、誰か役者さんのフィギュアみたいな?
佐藤
役者さんのキャラビジュアルが、アクリル板にプリントされていて、土台を使って立てることが出来る。平らなフィギュアみたいな。
松本
それを買った人はどうするの?部屋に飾って愛でるの?
佐藤
あのですね、部屋に飾るのはもちろんなんですけど、今、インスタってあるでしょ?
松本
Instagram
佐藤
外にご飯食べに行って、それをご飯と一緒に置いて、写真を撮って、「今、誰々くんとご飯を食べています」みたいなことも…
松本
「エリザベス・マリーとご飯を食べてます」みたいな。
佐藤
そうです、そうそうそう。
松本
…ちょっと僕には分からない感覚だなぁ。
佐藤
ははははは!(笑)僕も最初、全く同じこと言いました。でも、なんか良いみたいですよ。
松本
アリスインプロジェクトの、(キャラビジュアルの)等身大パネルも…
佐藤
あー、確かに同じようなカテゴリーかも。
松本
あのパネル、持ち帰れるんですよね。
佐藤
え?
松本
でも、持ち帰ってどうするんだろう?ちょっと聞いてみたい。
佐藤
それ言っちゃうと、僕らだって(他人から見て)訳分かんないもん買うじゃないですか。それと一緒で、本人には訳分かんないものでは無いんですよね。
松本
あははは(笑)。
佐藤
みんな、楽しみ方がいろいろある。
松本
人それぞれね。
佐藤
僕も部屋に飾ってありますよ。自分で作った商品なんでね。見るとニコッとしますよ。
松本
旅行に行った時の置物みたいな感じかな~。
佐藤
他には過去公演のDVDBlu-rayですかね。
松本
(興味深そうに)Blu-ray
佐藤
Blu-ray売ってます!
松本
おお!
佐藤
Blu-rayすっごいキレイですよ!
松本
Blu-rayを作るのって、大変じゃないですか?
佐藤
まあ僕は(作業的には)大変じゃないですけど、(製作費が)高いですね。
松本
高いですか?
佐藤
はい、高いです!(笑)DVDとかBlu-rayで儲けが出るのなんて…。えーと、まず劇場予約で売れた分で本当とんとん。
その後の発売イベントで売れた時と、WEBサイトで売っているからそこで注文が来た時にやっとちょっと儲けが出るかな、くらい。
松本
ああ、そんな感じですよね。Blu-rayはいくらで(売ってます)
佐藤
6,000円です。DVDが4,000円。結構しますよね?でもやっぱりBlu-rayはキレイ。あのBlu-ray買えって意味じゃないんですけど、DVDと比べるとBlu-rayはやっぱりキレイなんですよね。
松本
僕は映像編集にもちょっと関わっているんで、Blu-rayの容量が凄く多くて、画質も尺も自由度が凄く高いのは分かっているんです。だから、やりたいなーとは思うんですけれど、なんせ高い。
佐藤
そうですね。うちはファンタジーが多いじゃないですか。
松本
はい。
佐藤
ファンタジーだと画質が良い方がなんか有利というか。
松本
ああ、まあそれは分かる。
佐藤
派手な格好した人が戦ったりするとなると、やっぱBlu-rayの方が(良いのかな)というのがあります。もちろん会話劇とかでも、画質が良いに越したことはないですけれど。
松本
ああ、6番シードは会話劇が多いから、音質の方が大事かもしれません。
佐藤
ああ~!そっか!なるほど!
松本
昔よりも随分良くなりましたけれど。
佐藤
確かに、そうですよね。
松本
普通に収録してもきちんと響くから。以前、ドラマのプロデューサーさんだか誰かに、「舞台のDVDに全部字幕付ければ良いのに」って言われました。
佐藤
ほほぉ(苦笑)。
松本
その手間はどうなのかな~?って。
佐藤
確かにそれは大変なことに…。
松本
(慌てて遮る様に)あ!相当前の話なんですけどね。昔はちょっと聞き取り辛かったんですよ。
佐藤
ああ~、確かに。でもその字幕モードに切り替えられる機能付けるのは、凄い大変。
松本
凄い大変です!
佐藤
(製作業者に)頼んだらやってくれるかな?
松本
いやぁ~(笑)。
佐藤
でもまぁ、滑舌が悪いと言っているようなものだからな~。ははは(笑)。

お祭りか作品世界か

松本
物販系で、もう一個聞いて良いですか?
佐藤
どうぞ。
松本
チェキってやってます?(チェキ=撮ったその場で現像されるインスタント写真。ネガやデータが残らない為、世界で唯一の写真になる)
佐藤
やってないです。別にチェキが嫌いな訳じゃないですけど、チェキやらないんですよね。また否定する感じに取られるかもしれないですけど、否定じゃ無くて、ただなんか、商品じゃ無い気がしているんです。
松本
確かに違うよね。
佐藤
商品ってこっちが頑張って作ったものなんですよ。ブロマイドはカメラマンの渡辺さんと衣装さんとメイクさんとで、こだわって作り上げて、僕がディレクションして撮って、めっちゃ悩んで選んだやつを、4枚1,000円で売っている。4枚1,000円だって、すごい高いですけど、頑張って作ったから(商品として)売れるんですよ。チェキってなんか「イェーイ!」みたいな。
松本
まあ、記念写真ですよね?
佐藤
そう!「イェーイ!」って。でも、それを俺がめっちゃこだわって撮ったら別ですけど、そうでも無いでしょ?だからチェキはなんか嫌なんですよ。
松本
チェキは多分、思い出作りとか、その日のその一枚しかないとか、そういう価値だとは思うんですけど。
佐藤
そうですね。たださっきも言ったように、縁日、お祭りだから良いんですよ、生っぽいでしょ。
松本
お祭りという考えだとチェキはありですよね。
佐藤
僕はあんまり…ってだけで、チェキを売ることは全然ありなんです。
松本
なるほどね。やっぱりこだわって作った商品であるかどうかがポイントなんですね。何となく腑に落ちました。僕もチェキはいまいち好きじゃ無いんですよ。
佐藤
違和感でしょ?お祭り寄りのプロデューサーはチェキをバンバン撮るんですよ。「握手で!チェキで!」って。お祭り寄りだから、それも全然いいんですけど、僕は作品寄りなので。
松本
じゃあ、僕とか6番シードはそうなんだな。なるほどね。
佐藤
あと、チェキは若いアイドルの子とかの方が売りやすいんじゃないんですかね。やっぱ、僕ら大人すぎて…(笑)
松本
結構アイドル業界から(アイディアが)落ちてきてません?広がってきてません?
佐藤
広がってきてますね。だから…
松本
昔でいうと極一部の本当にコアなサービスだと思っていたら、最近、古本新乃輔さんが。
佐藤
チェキやってるんですか?
松本
やってるかどうかは知りませんけど「チェキはいいよ~!」って言ってて。
佐藤
あはははは、嘘でしょー!?
松本
マジかよ!?って思いましたよ。
佐藤
古本さん凄いな。考えが柔軟ですね。
松本
だから、うち(6番シード)の小沢さんとチェキを撮って楽しんでいる方もいると思うんですよ。うちの公演ではやってないですけど、需要としてあると思うんですよね。
佐藤
あると思います。結局はやり方じゃないですか?楽屋で先に撮ってしまうのも方法のひとつだし、一緒に撮るのもひとつだし。
松本
でも、さっきのプロの商品とお祭りの縁日っていうのは、凄く腑に落ちるワードだったな。
佐藤
僕も、こうやって話してると思いつきます。
松本
うちの劇団も、イベント公演をやる時はいろいろとおふざけを考えたりするし。
佐藤
そうですよね。公演にもそういうの有りますもんね。ガッチリ作った公演もあれば、ワイワイしたいイベントもある。
松本
でも本公演となるとやっぱり、物販もキチッとその延長でいきたくて。
佐藤
そうですね。
松本
同じ土俵にいたいという、ちょっとまあ…そういうことがある。
佐藤
本当はどっちも上手いことやって、お祭りの時は「お祭りだぜ!」ってなれるプロデューサーが一番いいんでしょうけど、僕はそこにちょっとこだわっちゃって。

逆転の発想で

松本
じゃあ、こだわりの話をさらに聞いてみましょうか。
佐藤
ええと、こだわりは本番中にイベントをやらないのと、チケットの価格は(1公演内で)変えないってのがこだわりだったんです。でも、次の『セカスリ』Second you sleep/2019年4月)は値段を変えるんですけど…。
松本
上がるんですか?
佐藤
いや、ちょっと考えを方変えたんです。昔は全部の回同じクオリティで作ろうとしているのに、値段が違うのは変なんじゃないかと思っていたんですけど。
松本
あー、平日割とか?
佐藤
そうそう、ただやっぱりお客様の事を考えると、平日の方が来る人数も少ないし来るのも大変だし、っていうことと、平日が安いのでは無くて、土日祝日が高いんだ、という思考回路で自分を納得させたんです。
松本
なるほど、なるほど。

photo

佐藤
だいたいいつも稽古期間とかに「初日から見てほしい」とか「平日がオススメです」とか言うんですけど。
松本
ありますね。
佐藤
何がオススメなの?って言われると、単純に予約が少ないからという事でしかオススメできなくて。
松本
これはもう、お客さんも大体分かっているとは思っていて、水曜日から始まるのがスタンダードで、木・金が埋まらない。これはやっぱり大変ですよね。
佐藤
それはもうしょうがないです。埋まっていくのは、やっぱ土日祝日だし、後の方になればなるほど、口コミとかがあるから。みんな考えるのは、とにかく初日から埋めるってこと。
松本
初日はまだ…
佐藤
そう、お祭り感がある。ただやっぱ平日に来てもらうにはどうするか。
松本
ツイッターとかで、金曜日オススメですって役者は書くじゃないですか、こちらも言ってくれって言うし。だけど、これはもう響かないなーって、お客様はもう分かっているから、だからもうオススメなんて言わなくて良いんじゃないかって思ってる。
佐藤
それ、『劇シナ(劇作家と小説家とシナリオライター/2018年11月~12月)』の稽古の時に仰ってましたよね。
松本
ちょうどそれくらいに思い始めたんです。昔は僕も劇団員と共に、散々ハッパをかけてきた歴史があるんですけど、もう効かないなこりゃ、って…
佐藤
だんだん効かなくなっていますね。昔は効いたんですけど。
松本
うん、それに(同じことを)言う人がたくさん居るっていうのもあるかな。常套句みたいになってる。
佐藤
だから「もう分かった」ってなって、各チームの最初の3回とか、平日昼とか(客の入りが悪そうな日の)値段を安くしました。でもイベントは、なんかね~。
松本
イベントって終演後イベントのことですよね。それはやらないんですか。
佐藤
これもやりたい所はやっても良いと思うんです。僕が役者として出させてもらっているボクラ団義さんとかも、やるじゃないですか。
松本
そのこだわりは?
佐藤
なんでやらないんですかね~?分かんないですね。ただ、やったらお客さんめっちゃ喜んでるし、自分が出たら…
松本
出演者として何度も出てますよね。
佐藤
そう!自分も出たら楽しいんです。だけど、女性に幻想を抱いてる男みたいな感じで、芝居に幻想を抱いてるんですよ。
松本
つまり、役から外れたバラエティーの側面というか、素の役者さんたちの姿をを見せたくない。
佐藤
そうそう、見せたくない。あのカッコよかった人が、普段はこんな感じなんだ…、みたいな。
松本
なるほど。

(つづく)