最近の松本

【松本 脚本演出 舞台】

劇団6番シード第71回公演
「ザ・ボイスアクター2020~アニメーション&オンライン~」

2020年11月19日(木)〜11月29日(日)
シアターKASSAI(池袋)

人気アニメ「流浪の民ナガレイン」のアフレコスタジオにやってきた中堅俳優。そのアニメから企画されたオンラインゲーム「ポチョミンの大冒険」のアフレコスタジオにやってきたベテラン声優。アフレコスタジオで起こる奇想天外なバトルを描いたノンストップコメディ!

詳細はこちら
http://www.6banceed.com/voice2020.html

最近の松本

【松本 脚本演出 舞台】

UDA☆MAP 10周年記念公演
「新宿☆アタッカーズseason3」

2020/09/30 (水) ~ 2020/10/04 (日)
シアターグリーン BIG TREE THEATER

今度のUDA☆MAPは「新宿☆アタッカーズseason3」
天下泰平の江戸中期、宿場町「新宿」。珈琲茶屋を営んでいる胡散臭い探偵三姉妹。「亜破(あわ)」「琵輪(びわ)」「夢或(むあ)」。盗人稼業で小銭を稼いだ三姉妹は、新しい珈琲豆の品評会の為に大金をはたいて小笠原諸島までやってきた。そこで出会った一人の少女に誘われるがままやってきたのは山奥の洋館だった・・・。殺人事件と7人の容疑者そして、洋館に隠された甘い罠・・・。
三姉妹が見た結末は、淡く儚いものだった・・・。

詳細はこちら
https://stage.corich.jp/stage/108640

最近の松本

【松本 脚本演出 舞台】

UDA☆MAP +PLUS Vol.2
「ホテルニューパンプシャー206」

2020年8月12日(水)〜17日(月)
キーノートシアター

出会うはずのないホテルの一室に集った3人の女。
裏社会で生きる女社長、イタすぎる女、売れ残ったホテトル嬢。
隣の部屋から聞こえてきた銃声をきっかけに彼女達のパンクでファンキーな夜が始まった。

詳細はこちら
https://stage.corich.jp/stage/107686

ミキシングレディオ2020 振り返り〜コロナ対策劇場編〜

「ミキシングレディオ2020」〜コロナ対策劇場編〜

これから演劇を再開する方へ何か参考になればと思い、今公演で行ったコロナ対策を書いています。今回は劇場編です。

もう一度書きますが、コロナへの価値観や考え方は様々です。やれることやれないこと(お金とかも含めてね)、対策の良し悪しなども様々な意見があるかと思います。これからもうしばらくは続くであろうこの時代で、わりとトップバッター的に公演を行った者の備忘録として参考にしてもらえたらと思います。今回は出来るだけ明日使えそうなことを書いていきます。

・舞台と客席の間に飛沫防止シートを設置
・客席と客席の間に飛沫防止シートを設置
・お客様には検温、アルコール消毒、マスク着用でのご観劇
・チケットはすべて前売り、グッズもネット販売
・換気休憩
・終演後の面会はなし
・フェイスシールド着用公演

大きくはこの7つです。上記6つは公演開催発表と一緒に告知。フェイスシールド着用は、試行錯誤(役者の安全性含め)が必要だったので、後ほどの告知となりました。これらはすべて、劇場の方針や構造、団体の都合、予算の都合、などなど様々な事情が絡んできます。これももう一度書きますが、緊急事態宣言明けすぐの公演だったので「やれることは全部やろう」をモットーにしています。今後情勢の変化やここまでやらなくていいorもっとやらなくてはいけないなどの変化は大いにあると思っています。あくまで2020年6月の出来事として読んでくださいね。

《舞台と客席の間に飛沫防止シートを設置》
ラジオ局の生放送という物語設定に合わせてアクリルパネルとなりました。これは素材がどうであれ、舞台美術の一部のようになるんじゃないかなという目論見は最初からありました。そして舞台美術の青木さんがまさしくそのようなプランニングをしてくださいました。
アクリルパネルは6ミリの厚さのもので、舞台用語のいわゆるサブロク(90センチ×180センチ)を6枚並べました。舞台面ではなく客席面に下から設置。その段差分で高さ165センチくらいの壁となりました。背の高い菅野くんが舞台挨拶の時に少しはみ出してたな笑。照明が反射しないように今回はシーリングという前から当てる照明を使っていません。照明の話をすると、フェイスシールドの反射防止も含めてかなり数を減らした形での灯り作りとなっています。
飛沫防止対策としては100点だと思います。舞台上の飛沫が客席に流れることはまずほとんどないだろうと言えるくらいの遮断感があります。透明度も高く、視覚的な問題はほとんどなかったと思います。一部の席からはパネルのつなぎ目でキャストの顔が曲がって見えるという現象が起きました。出来るだけそうならないようにスタッフさんが頑張って設営してくれましたが、アクリルパネルのクセと劇場床面のフラット誤差で少し曲がってしまう箇所が出ました。それを解消するにはパネルを厚くするというものですが、8ミリにすると予算が爆上がりします笑。6ミリ以下だと多分ゆらゆらするだろうという話でした。
セリフ(音声)が聞き取りづらくなるのは当初から想定していて、舞台前面にフットマイク(大きめの劇場でよく使うもの)、舞台美術にピンマイク(ブースとサブを仕切る低いパネルに仕込んでありました)を仕込んでキャストの声を拡声しています。
問題はこの一点ですね。「ライブ感」かなと思います。遮断が完璧であるということはそれだけ客席と舞台が分離されるということです。演劇、特に小劇場が持つライブ感は弱まるのはどうしてもあるかなと思います。今回の劇場ではひな壇3段目くらいから後ろがむしろ生声が聞こえているライブ感があったように思います。とはいえ最前列のお客様はアクリル越しでも役者のライブ感を楽しんでもらえたようなので、これも観客の受ける印象次第といったところかなと思います。
前説で「まあまあ(お金)がかかった」みたいな笑い話にしましたが、本当にアクリルパネルが品薄で入手するのに大変苦労されたみたいです。本来は1枚1万円くらい?で、その1.5〜2倍くらいの金額がかかりました。これ劇団の持ち物として残してありますので、もし使いたいという方がいたらこのサイトの問い合わせフォームからご連絡ください。格安で貸し出します!(切実)
アクリルパネルのメンテナンスはアルコール系だとクラック(ひび)が入るそうなのでご注意。ハイターを薄めたやつ(塩素系?)を使っていたようです。

《客席と客席の間に飛沫防止シートを設置》
制作の島崎がこのアイデアを提案してくれた時に、これなら公演がやれるかも、と思ったアイデアでした。説明むずいので写真で見てもらう方がわかりやすいかと。こちらです。

このように、客席の椅子をパイプで作った枠で囲い、ビニールシートで覆って、完全に個室状態にしました。これは私も座ってみましたが、快適です。めちゃ快適です。一蘭は偉大だなあと思いました笑。これはすべて手作りです。材料はすべてホームセンターで揃います。枠は塩ビパイプで、水道管用だったかな。島崎曰く「水道管というシールを剥がすのが一番面倒な作業だった」とのこと。これらを組み合わせて椅子に結束バンドで固定します。枠の高さは後ろや隣のお客様の視線の妨げにならないよう、座席の位置によって微妙に変えてあります。僕もチェックしましたが、どの席から見ても舞台が見えなくなるということはありませんでした。匠の技ですね。ビニールシートは市販されているビニール袋です。元々はビニールを貼って、公演毎にすべて消毒作業をするというプランだったのですが、このビニール袋をかぶせるという形になったおかげで、すべて廃棄して取り替えるだけという安全面でも作業面でも画期的に楽になりました。とはいえ私も手伝ったのですが、全席にビニールをはめる作業…なかなか大変です。音の聞こえにはほとんど影響ありません。

《開場、換気休憩》
基本フローはこんな感じです。
開場は15分前。事前に行列を作らないようお願いしてあり、開場の直前から、
整理番号順に並ぶ→チケットをお客様自身でもぎってもらう→検温→アルコール消毒をしてご入場

みなさま本当に協力的で、毎ステージスムーズに開場できました。私も検温やアルコール消毒を担当したのですが、嫌な顔をされる方はおらず、むしろ「ありがとう」とお声かけ頂いた方も多数いて驚きました。開演前に泣きそうになったのはここだけの話。検温って経験した方は分かると思いますがちょっと緊張しますよね。私が検温器を銃を持つように(両手で)構えていたのは反省しております笑。マスク着用率も99.9パーセントでした(お一人だけタクシーに忘れた方がいて、その方にマスクをお渡ししたらお金を出して買いますと言ってくださいました)。開場時間が15分しかないので、お手洗いのみ30分前から解放しました。その後私の前説があって、開演となります。前説は何気にいつも緊張した笑。

換気休憩を上演の間に10分程度入れました。それ用に舞台中央のパネルを固定しない形で作成してもらい、パネルをずらして劇場奥の扉(外)を開けて換気しました。その休憩中にも舞台面の消毒作業を行いました。舞台監督さん、私、音響さん、声の出演真由美役のL山田さん、R古梨さんで行いました。これがいつも稽古場でやっていた風景です。
換気休憩はこの物語はむしろキャストにとってはありがたかっただろうなと思います(くっそハードな芝居なので)。あと昨今は上演時間が2時間でも「長い」と言われるような風潮もあり、1時間で休憩はちょうど良かったかも知れないですね。演出としては、完全なノンストップ1幕劇なので、その雰囲気が損なわれてないように、休憩明けに少し前から始めて(前回までのあらすじ的な)スムーズに後半に入っていけるようにしました。宮古田役の大島くんの絶叫が後半の始まりなので、彼は通常の倍絶叫したことになります笑。
今後換気休憩も当たり前になるようなら、脚本家や演出家は少し意識すると面白いかなと思います。ここで休憩!?気になる!?みたいなやり方とか、逆に前半後半が綺麗に分かれている感じとか。これは逆に面白みを増す為という意味のアイデアです。
上演中もマスク着用でのご観劇をお願いしました。水分はこまめにとってくださいとアナウンスしました。咳エチケットも前説でお伝えしました。前説でジョークで言った「笑いエチケット」はそこそこウケました笑。

《フェイスシールド着用公演》
フェイスシールドの試行錯誤のあれこれは前回の稽古場編を読んで頂くとして、最後まで悩んだのがこの項目です。アクリルパネルを設置したので、キャストの飛沫がお客様に飛ぶことはなくなりました。つまり今公演の本番中のフェイスシールド着用の意義は「キャスト間の本番中の感染予防」ということになります。一方でキャストは本番で最高のパフォーマンスをするというのが最大の目的でありそれが仕事です。それくらいフェイスシールドはキャストへの負担が大きなものでもありました。映像の現場だとリハーサルまでシールドをつけて、本番で外すという話も聞きました。今再開したサッカーも試合中に(おそらく相当)接触がありますが、試合中はマスクもシールドも着用してません。そのかわりに2週間ごと全選手がPCR検査を受けているそうです。このように、最後のパフォーマンスの部分で感染対策をどこまでやるか、どのようにやるか、というのは本当に難しい部分だと思います。ガイドラインには「演出上支障がなければマスク着用」と言った文章にとどまっています。ちょっとツイッターで大喜利みたいになってたし。最初から書いているように、この公演は「やれることを全部やろう」から始まっています。なのでまずはキャストが安心して全力で芝居ができるということを考えてフェイスシールド着用公演としました。そしてご覧になった方はわかると思いますが、それはもう飛沫が飛びまくる演目です。作品のカラーだったり、舞台上でそれなりに距離が取れる演出だったり、今後は舞台美術の中でアクリルやシートを使ってみたりと、対策のやり方は様々できると思います。前回書いたようにマスクも使いようで面白くなると思うし。今私が思う1番のポイントは「キャストが安心して演じられるか」ということだと思います。キャストやスタッフ、脚本家演出家の知恵と工夫によって色々な上演の形が生まれてくると思います。今マスク公演やシールド公演がいくつか上演しているという話を聞きました。どちらもつけずにやる公演もきっとたくさんあると思います。そこには主催者や演出家、そして出演者の様々な判断があってのことだと思います。

前回照明のテカリが、と書きましたが、主にテカるのは上を向いた時、横を向いた時でした。すべてのシーンでテカらないようにするのは無理ですが、できる限り「このシーンのここテカってる」とキャストに伝え、テカらない顔の向きなどをキャストは微調整しました(なかなか大変だったろうなと思う)。場当たりというリハーサルがあるのですが、そこでキャストさんは照明の当たり具合などを確認しますが、今回はテカリにかなり時間をさきましたね。

《その他》
あとは、忙しいスタッフさんにお弁当やケータリングを出すのが現場では普通にありますが、今回は各自で買って頂く形にしました。松本ケ長でおなじみのケータリングも今回は行ってません。平井がすごく残念がっていたな笑。私も作りたかった笑。楽屋は2チーム公演なので、Wキャストの席をうまく配置して間隔を出来るだけ取りました。とはいえ楽屋はどの劇場も基本狭いですからね。ここは別場所を借りるわけにも行かないし、小屋入りまで、そして千秋楽までのキャストの感染予防意識を高めておくのが重要かと思います。楽屋をビニールシートで分ける案もありましたが、逆にリスクが上がる(飛沫残りなど)気がしてやめました。換気は常に行いました。公演初日からはキャストは客席に立ち入らず、舞台に上がる靴はキャストは衣装靴、スタッフは舞台面用の靴に履き替えて移動していました。
キャストスタッフ、関係者などもすべて検温を毎日行いました。

そして演劇恒例の本番前の気合い入れもソーシャルな形で。普段なら肩を組んで円陣なんですけどね、今回は大きな広い輪を作って、拳を上に突き上げる形でした。
「ミキシングレディオ、オンエア!!」

とりあえず今公演のコロナ対策編は以上です。「初めての試みだよ」と笑いながら舞台客席空間を作ってくれたスタッフ陣に、様々な制約をポジティブに立ち向かってくれたキャスト陣に改めて感謝です。なんか忘れてるものがあったら追記します。演出面でもいくつかあるのですが、それは作品振り返りと一緒に次回!

ミキシングレディオ振り返り〜コロナ対策稽古場編〜

「ミキシングレディオ2020」が無事昨日幕を降ろしました。
たくさんの方にご来場頂き、千秋楽はスタンディングオベーションを頂きました。緊急事態宣言解除から稽古を始め、短期間で芝居を作り上げてくれたキャスト陣、新たなチャレンジに挑んでくれたスタッフの皆様、そしてご来場くださった皆様、ご来場が難しくても応援してくださった方々など、感謝してもしきれない思いです。やはり特別な時期の特別な公演だったと思います。

本来なら作品についてのあれこれを、振り返りコラムするのですが、取り急ぎこれから演劇を再開する方達へ向けて、何か少しでも参考になればと思い、今回行ったコロナ対策について出来るだけ具体的に書いて行こうと思います。たぶん長くなります。

そしてコロナへの価値観や考え方は様々です。やれることやれないこと(お金とかも含めてね)、対策の良し悪しなども様々な意見があるかと思います。これからもうしばらくは続くであろうこの時代で、わりとトップバッター的に公演を行った者の備忘録として参考にしてもらえたらと思います。公演を行うか中止かなど、劇団員とともにものすごく考え悩み、精神的な苦労もありましたが、そういったメンタル方面の話は今後どこかでゆっくり振り返りますね。今回は出来るだけ明日使えそうなことを書いていきます。

まず大前提に「出来ることは全部やろう」の精神で臨みました。今後効率化だったり、そこまでしなくてもいいorもっとやらなければいけないといった認識の変化、情勢の変化もあるでしょう。あくまで2020年6月の出来事として読んでくださいね。

《稽古場編》
・毎日の検温
・一時間おきの換気、消毒、手洗い、うがい
・マスクまたはフェイスシールド着用稽古
・リモート稽古
・稽古時間の短縮

が大きな対策ですかね。まず一番リスクが高いのが稽古場と参加するキャストだというのを念頭に置きました。今回恵まれていたのは稽古場さんも空き部屋が多い時期で、稽古する場所と別に空き部屋をキャスト控え室として無償で貸してくださいました。これによりかなりソーシャルディスタンスに余裕ができました。もし団体さんやスペースに余裕があれば2部屋あるととてもいいですよ。でもそれは厳しいだろうなあお金とか色々な意味で。区民館などを使ってる団体さんならもう一部屋押さえておくとかいいかもです。

基本フローはこんな感じです。
・キャスト着到→手洗い、うがい→控え室で検温→稽古着に着替えて、稽古場へ。稽古場の入口にもアルコール消毒を設置しました。
・一時間おきに換気休憩、その都度、稽古場のテーブルや小道具なども全て消毒。
・今回2チーム公演だったので、入れ替え時は稽古をしていたキャストが消毒を終え、次チームと交代といったスパンで稽古が進みました。稽古場に入るときに稽古靴に履き替えています(これは普段からもそうですが、たまに外履きオッケーの稽古場もありますので)。

「検温器」
検温器は劇場でも使うので少し値段高め?の良いものを買いました。1台7000円くらい。おでこで測るやつ。2秒で測れます。なんか安いやつは精度や時間がイマイチらしい。劇場でお客様に使ったものと同じものです。

「消毒」
・過去掃除のアルバイトをしていて、食品衛生責任者の資格も持ってる宇田川さんが色々調べてくれて、消毒隊長と呼ばれていました。
テーブルや小道具の消毒はコロナ対策に有効とされている「界面活性剤」の成分が入っている洗剤を使いました。キュキュットとか食器洗い洗剤などに入っている成分で(同じ銘柄の洗剤でも入ってるのと入ってないのがあるらしいからご注意)、経済産業省のホームページに製品一覧が載っているそうです。次亜塩素酸水は(当時)効果が不明という話が出ていたので、メインは界面活性剤入りの洗剤を使いました。この辺りの最新情報は色々調べてみてください。アルコール、エタノール系は少し値段が高いので、手指、フェイスガード、音響機材、で使いました。後で書きますが、アクリルパネルはアルコールNGです(ヒビが入るらしい)。
・すべて消毒と聞くと「大変だなあ」「めんどくさそうだなあ」と思いがちですが、みんなでやれば5分かからないです。本番中の換気休憩中に私とスタッフがやっていたのを見た方はわかるかと思います。そんなに手間ではないです。あとは「みんなでやる」というのが大事だったのかなと思います。全キャストのコロナ対策の意識が共有されるし、皆楽しんでやってました。メイキングのキャストインタビューでこの消毒作業が思い出に残ってると語っていたキャストがたくさんいました。演出助手さんがやるとか、若手だけでやるとかではなく「全員」でやるというのは大事な気がしますね。

「一時間おきの換気・消毒休憩」
演出家としては稽古がブツ切れになってリズムが作れないんじゃないかといった不安はありましたが、これもそういうリズムになっていけば普通になりますね。むしろキャストさんはマスク着用稽古で負荷がかかっているので、ちょうどよかったくらいの気すらします。なので学校みたいな感じかな。1時間やって10分休憩のリズム。よく演出しててノリノリになって時間忘れるというのがあるので(演出家あるある)劇団員にそうなったら止めて、と伝えてました笑。実際何度か止められた笑。
4時間の稽古だとすると30分くらいは今までより稽古時間が短くなるので、演出や演出助手さんはそのあたりは計算して進める必要があります。

「マスク着用稽古」
基本稽古中は「マスク」か「フェイスシールド」のどちらかを必ず着用した状態で稽古しました。フェイスシールドは色々手間がかかるので、マスク着用稽古の方が主流でした。もちろん演出もキャスト同士も最初は表情が見えない難しさがありましたが、すぐ慣れます。きっと今平井杏奈は面白い顔をしてるんだろうなと想像できるようになる笑。音のこもりもすぐ慣れます。ピッタだっけ?通気性のいいマスクを役者さんはよく使ってて、音の響きも良いです。マスク公演をするならこれかなってくらい。稽古初日レベルで慣れます。僕は作風的に微妙ですが、顔が見えない面白さ(ミステリーとかアングラ系とか)を利点にした演出もあるんじゃないかなあと思ったくらいです。能のようにお面文化もあるしね。つくづく演劇は偉大だな笑。
マスクで気をつけなければいけないのは熱中症や呼吸困難などのキャスト負担です。マラソンでマスクトレーニングみたいなのがあるのかな?そういう高地トレーニング状態になってますので、皆疲労感は強かったはずです。一度椎名くんがのぼせたような状態になり、外の空気を吸って元気を取り戻すといったこともありました。その時私のハードなコメディではマスク公演は無理だなと判断しました。
あとマスクでセリフをガンガン喋るとマスクがずれてくるというストレスとキャストは戦ってましたね。土屋は早い段階でフェイスシールドメインの稽古スタイルにしていたように思います。

「フェイスシールド」
これはひたすら試行錯誤したので長いぞ。メガネ型のフレームにシートをつけるタイプを購入し、それを元に使いやすさ、見やすさなど、様々な試行を重ねました。元となったものは、メガネ30個、シート60枚で3万円くらいだったかと。価格は5月下旬の頃のものなので今は変わってるかもですね。シートは丁寧に洗わないとすぐ傷がつきますが、基本1枚を本番まで使用しています。傷などで換えた人でも2〜3枚程度ですね。
試行錯誤は
・着用方法
・固定方法
・通気や見栄えのためのカッティング
の順番ですかね。飛沫や口の大きさを確認しながら、最後にカッティング作業をしました。半仁田さんが口を大きく開けた時の伸び幅がすごくて(ジムキャリーばりにめちゃくちゃ開く)、普通にカッティングしたけど絶叫シーンではみ出し、もう一度カッティングするということがありました。シートも安くはないので、使い捨てという訳にはいかないので、最後のカッティングは結構繊細な作業です。
いろんなキャストさんがとにかく知恵を出してくれたので、採用されたモデルにキャストの名前がついています笑。

《土屋モデル》
通常のメガネフレーム(透明)に着色して衣装メガネ風にして装着。これ一番作業的にも楽なやつです。目の部分と顎サイドあたりをカッティング。
フェイスシールドでの演技はシートとキャストの口の距離が結構肝で(喋りやすい、音がこもらない、曇らないなど)このモデルはその不安要素がなく、安定感もあります。弱点は照明のテカリ。

《名倉モデル》
土屋モデルを転じて、普通のメガネに結束バンドでシートだけをメガネに直接つけたもの。メガネキャラに使用(御手洗、橋口、清川)。メガネにも個性が出せるし、土屋モデルと利点、弱点は同じです。名倉君はボツになったストローで胸に固定するバージョンなど様々アイデアを出してくれました。

《藤堂モデル》
ネック装着で下からつけるタイプ(古田、社長、典子、シゲさん、宮古田など)。見栄えの良さや照明のテカリなどをほぼ完全に防げるので、当初はこのモデルを中心にひたすら試行錯誤しました。問題は装着時の安定感です。それを解消するのに、スポンジ、耳かけ紐など様々足されています。まず元々のメガネフレームを逆にしてシートと装着します。メガネの突起部分が下(首側)になるので、そこにスポンジを挟み胸(喉元)に置けるようにします。それでも固定はしないので、透明な輪ゴムで耳掛けし、メガネのフレーム部分にもスポンジをボンドで接着し、首部分での安定感を足しました。すべてのフェイスシールドに言えますが、キャストの顔の大きさ、首の長さなどでそれぞれカスタマイズが必要です。この藤堂モデルは首が長いキャストには向かない形かも(首の短い樋口の安定感たるや)。
とにかく見栄えが一番よく、照明テカリも一切ないので、このネック式はキャストの演じやすさが一番の課題です。樋口や工藤さんは衣装として首にタオルを巻いて安定感を増していました。小沢さんはネクタイの下にスポンジを入れ、ネクタイを盛り上げることで安定感を作っていました。

《新井モデル》
そして稽古最終盤に生まれたのがこの形(真希、カッキーなど)。元々のメガネフレームを反対に頭につけてメガネの縁の部分に結束バンドで止める形。当初は「逆名倉モデル」と呼ばれていて、様々な人の英知が結集したかのようなモデル笑。今後もシールド公演があるとしたらこれが主流になるだろうなって感じ。メガネキャラでなくてもいけるし、安定感は半端ないです。頭の後ろにあるメガネ部分は髪型などで隠せます。弱点はやはり照明のテカリ一点のみ。あと女性の髪型に制約が出るかもしれない。今回女性でこの形は真希役の椎名と、L加奈役の柳瀬さんでした。結ばない系の髪型だとどうなるのかな。とにかくひたすら喋る主人公椎名がこのモデルで通し稽古をした時の喜びようったらすごかった。多分ダンスなどの激しい動きも大丈夫です。

あとボツになったのが「大島モデル」という、ネック式の安定感を増すためにメガネの突起部分をアゴにつけて固定するという形。同じようにアゴ装着のマウスシールドも試験購入しましたが、やはりセリフを喋る時のストレスが大きいということでボツになりました。セリフが少ないとかダンス公演とかならマウスシールドは使いやすいんじゃないかと思います。囲う面積も少なめにはなりますが、見栄えやテカリもほぼ気にならないでしょう。

あと曇り防止用にメガネクリンビューを吹きかけて本番などをやりました。一定の効果はあったかなと思います。あと曇りは湿度がたぶん関係することが分かってきたところで稽古終了となりました。フェイスシールドと湿度は音の響き含めけっこう関係性がありそうです。
フェイスシールドは飛沫が残るので管理をきちんとしないと逆にリスクが上がると言われています。稽古場でも本番でも自分のシールドは自分で洗浄、消毒し、所定の場所にしか置かない、というのを徹底しました。
マスクでずっと稽古してて、ようやく試行錯誤を終えて全員がフェイスシールドを着用して稽古した時の演出家の視界の広がりはすごく覚えています。みんなの芝居のギアも一段上がったように見えました。豊かな表情の演技も、当然芝居の魅力のひとつです。

《稽古時間など》
通勤リスクを抑える為に、いわゆる時差通勤という時間帯を稽古時間に設定しました。
・11時〜16時
・11時〜19時
です。遅い時間の満員電車もあるなと思いこの時間にしましたが、最近は遅い時間の電車は空いてるから演劇界でよくある13時〜21時は良いかと思います。
稽古時間は緊急事態宣言明けからで3週間、延べ日数17日、延べ稽古時間は100時間でした。これは2チーム公演としては少ないです。通常公演なら足りる量かなと思います(もちろん演出家さんによる)。ダンスや殺陣などがあればまた変わるでしょうしね。稽古時間や日数の短縮は何よりの対策になりますから、作品クオリティと稽古の効率化は今後も進めていくべきでしょう。ただコロナ前までは「効率化が全てじゃないぞ」と思ってたような古い人間でもありますので、演劇の稽古時間というのは引き続きいろんな人が考えていくことなんだろうと思います。
今回、キャスト体力や健康維持のため「3日に1日休みを作る」という形のスケジュールで進めました。これは良かったと思います。だいたい稽古最終週は集中稽古といって7日〜10日連続稽古になるのが普通ですが、そこにも3日置きに休みを置いたので、キャストの休養にもなったし、本番直前のメンテナンス(美容院とか、マッサージとか)が小屋入り3日前にあったのはとても良かったと思います。演出家としても連日ハードになるころなので良かったですね。これはコロナ関係なく今後もやろうと思います。

《リモート併用稽古》
6Cオンラインというリモート演劇でリモート稽古しまくったのでノウハウはありました。なので試験的に導入してみました。稽古場で何人かが稽古し、リモートで何人か参加という併用型です。結果から言うとそこそこ使えて、そこそこ難しいって感じです。脚本や演目にもよるかなと思います。この稽古のコロナ対策の意義は「稽古場の密防止(人数の抑制)」「通勤などの外出リスクの軽減」ということになります。それとともに時間のない中で芝居を仕上げる、出番がなくても(少なくても)稽古場で他のキャストの芝居を見て空気感を感じる、という演劇にとって大事な部分もあります。だから良し悪しですね。使える演目と効率的じゃない演目があるって感じかなと思います。今作はみんな出ずっぱりで全体の空気感が大事な芝居なので後者ですかね。今回は前半声だけの出演となる道路交通情報センター成瀬役の水野さん、朝比奈さんが多くリモート参加しました。
当初はブースの中がメインの芝居の時にサブを全部リモートで、とかその逆とかを考えていたのですが、台本上ずっと交わりあっているのでそこまで区切った形の稽古は(時間的にも)難しいなと思い、大幅なリモート併用(キャスト半分リモートとか)はやめました。稽古場が広かったという理由もあります。今回は最大3名程度のリモート参加でした。
稽古場では当然リモート参加者の声は若干の誤差があって聞こえますが、それはあまり気にならなかったです。なので今後色々使えると思いました。
例えばシーンや出番が分かれているような脚本なら、今日は過去回想チームはリモートで、とか。あとこれ結構あるなと思ったのは、少し体調が悪いけど無理すれば行けるみたいな時って役者さんは無理して来ちゃうことが多いです。なので風邪やインフルエンザ対策とかでも使えそうです。生理痛重い人などにも有効かと。少し体調が悪い時は無理せずリモートで参加はありですね。
今回は通し稽古をリモート中継して、逆サイドのキャストさんやスタッフさんが在宅で稽古見をしました。狭い稽古場で人数多い芝居なら密回避にはとても良いです。
使用したのはzoomで、長時間使うなら有料(無料だと40分まで)です。私は年間2万円のやつに入ってます。

《その他》
あとは食事の時のリスクが高いと思い、食事休憩は皆ソーシャルディスタンスを取って食事しました。みんなでワイワイ話しながらというのができないのは寂しいですけどね。これも皆さん徹底してました。
いわゆる決起集会や打ち上げといった飲み会も開催していません。稽古最終日だったか、初通し稽古の後だったか、みんなで「くう〜ビール飲みてえ!!」って笑ったのも良い思い出です。リモート飲みをやろうかと思ったりもしましたが、リモート疲れしてたので笑、結局やらずじまいでした。本番を終えた打ち上げも10日後を予定しています。

やっぱりめっちゃ長くなったな!!
劇場編は後日にします。
続く。