今年一年振り返り⑧「なまくら刀と瓦版屋の娘」

今年一年振り返りラスト!

11月
6番シード
「なまくら刀と瓦版屋の娘」

これも未来切符と同じくファンミーティングからアイデアを得た作品。
・舞台裏もの観たい
・一方その頃舞台裏では、みたいなやつ
これに時代劇を掛け合わせたら面白いと思ったのがスタートです。それがあの表と裏の2幕舞台となりました。

我ながらよい発想だったかなと思います。表と裏もあるんだけど、時代劇と掛け合わせるってほうが実は重要だったかなと思います。時代劇ってそれだけで面白いでしょ。そこに現代劇でも面白い構成を足すっていう。衣装も華やかでよかったですね。車杏里さん。時代劇のスペシャリストくらい沢山の時代劇を手掛けてらして、様々なアイデアを頂きました。どプレーンなリアリティのタイプから2.5的なアニメ感のある創作ものまで。今回はリアリティよりやや華やかにポップにと発注。土屋演じた号蘇(号蘇)がちょっとかぶいた足袋を履いてたりね。見えない(見えてるか)とこにもこだわりが光りました。若林さん演じたお玉の町娘感好きだなあ。

脚本は苦労しましたね。あと稽古しながらかなり直しましたね。久々にこんな直したかも。役者泣かせでごめんなさいてへ。同じ時刻の表と裏を描きながらストーリーも進めるという難度。表と裏の整合性はね、そんなに苦労しなかったですよ。同時に書き進めたので。一番苦労したのは、

椎名演じる主人公、お紙が当たり前だけど半分の時間はハケて舞台上にいない。

です。いや最初から分かってましたよ。分かってましたけど、やっぱ難しかったですねー。1幕書いてる僕と2幕書いてる僕がドラフト会議するみたいな。「いや1幕さん冒頭からかなりお紙出てたでしょ?そろそろこちらに…」みたいなことです。だから2幕は、宇田川さん、石部さん、佐藤のぶさんのベテランスリートップで始める、みたいなね。この3人は信頼置けるキャストだし、本当に強かったなあ。宇田川さんと石部さんはがっつり絡ませてみたかったですね。のぶさんは稽古も本番も汗凄かったですね。最後らへんは衣装が色ガラがわりしてましたね。

キャストは皆よかったなあ。寸止役の冨田君、三平太役の浮谷君、義次役の五十嵐君、ふんどしトリオね、はこの作品と座組みを引っ張ってくれた印象。あと藤堂の別候はよかったなあ。男色の刀鍛冶。藤堂はローテーション気味のボケキャラは無双だな。実際何やっても笑い取る無双だったしな。

椎名には最初、あんまりツッコミにならないようにする、と言ってたのですが、まあまあ千本ノック状態になってましたね。タフな役でした。千秋楽、終演直後ちょうど楽屋でカメラ回してたのですが、「生き延びたぁぁ!!」みたいに吠えながら戻って来てました。

実験的に面白かったのは、1幕で藤堂演じる別候が奥座敷に消えて、1分くらい舞台上誰もいないシーン。事故かと思ったという感想が笑。あとクライマックスは襖をお紙がスパーンと開けて決め台詞を言うというのがやりたくて、でも1幕は意味わかんないんですよね。でもやっちゃえ!ってやりました。やらないバージョンの台本もありましたな。だから2幕観て全部繋がった!みたいな面白さや、そういう感想をたくさん頂きましたが、完全に計算はしてないですね。だから表裏という構造アイデアがやっぱりいいんだと思います。

この「表裏コメディ×時代劇」は面白いし、まだまだアイデア出そうだし、たぶん僕専売感あるから、早速続編決定を千秋楽で発表しました。タイトルは「火消しの辰と瓦版屋の娘」面白そうでしょ?打ち上げでキャスト陣は火消しの辰って何者?という話題で盛り上がっておりました。に2021年のどこかで上演予定です。お楽しみに!2020年じゃないからお間違いなく。気長に待ってね^_^

というわけで振り返り終わり!今年も一年ありがとうございました!来年の予定は、6番シードは恒例の元旦発表、私も3がにちくらいでこのコラム書きまーす。皆さまよいお年を!

今年一年振り返り⑦「オトナインデッドリースクール」「オヤジインデッドリースクール」

今年一年を振り返っています大晦日だよもう。

9月
松扇アリス
「オトナインデッドリースクール」
「オヤジインデッドリースクール」

演出を担当しました。脚本は麻草郁さん。
過去何度か演出しました「アリスインデッドリースクール」のスピンオフ的作品。元の作品は女子高生達の物語。ある日世界が動く死体で一変し、学校の屋上に取り残された女の子達は何を決断するのか、といった物語。アリスインプロジェクトさんで長く再演を重ねている人気作です。
今回はこれを大人の女性版「オトナイン」と親父達が集う「オヤジイン」で上演しました。確か昨年のパンフ対談で麻草さんと「オヤジの屋上やりたいね」みたいな話が実現したのです。こういうのってなかなか実現しないんですよね。面白いと思ってもね。だからなかなかレアな企画でした。

だからなのか演出してても楽しかったですね。私としては勝手知ったる?デッドリーの屋上に、大人達が集うんですから。連日2現場の稽古だったのでスケジュール的には大変だった印象ですが、こういう企画はある意味夢のようで、本当に楽しかったです。では個別に。

「オトナインデッドリースクール」
主人公ユウを演じた七海とろろさんがとにかく出色に良かったですね。本人のEQというのか対応能力の高さと、ユウが持つどこか不安で儚げな弱さがピッタリはまりました。現場ではとにかくユウのボケを増やしまくりました。台詞の合間にとにかく「入れていけ!」と。ミズキやベニシマ で屋上が凍りついても、臆することなく行け!と笑。八木橋さん演じるミズキが自然淘汰について話す時に「こ・う・や・ど・う・ふ」と入れたとろろは侍だと思う。
相方のノブ役の遠藤さんは2回目のデッドリーで高森をやって以来に現場でご一緒しました(日替わりとかは除く)。遠藤さんは昔はちょっと優等生ぽかったのが、しばらく見ないうちにだいぶ僕好みのぶっ壊れ系女優になりましたね。いや、褒めてます褒めてます。昨年ユウをやって今年はノブ。そんな彼女ですから、ツッコミという役割なんだけどwボケの面白さもあって。だからより一層「二人にボールを集めろ!」みたいな指示を出しましたね。
これはオヤジでもそうですが、女子高生だから響く瑞々しさとでもいうのか、そういう面白さと、オトナだから出せる味や魅力、その違いはより意識して演出したように思います。その象徴が市長役のSetsukoさんかなあ。真野さんとの焼却炉のシーンは、女子高生版とは違う涙となりました。

「オヤジデッドリー」
これはもうね、くせが凄い。普通座組みにオヤジ(今後も愛を持ってオヤジと書きますね)って一人ですよ。いても二人。この座組は、若い人もいましたが半分以上オヤジ。平均年齢40超えの座組み。僕としても先輩の皆様と一緒に芝居を作れて刺激しかない稽古場でした。ヒカミ役の佐藤さん、イナリ役の白部さんなど、真摯に役に向き合い、そして時に若手が驚くほどの毒、といってもいいのかな、強いエネルギーを出してきます。真正面から向き合わないと、と演出として思いました。がっぷり四つ相撲だぞと。イナリの「監督になりたーい!」という絶叫は白部さんのアイデアでしたが、デッドリー史上初(だったかほとんどなかったか)だったようです。

そんな中、ユウの布施君は不器用ながら熱い芝居で周囲を唸らせてましたね。いやマジで不器用ですこの人。だからこそのスイッチ入った時の力がすごい。こういう役者さんに久々にあった印象です。予想はしてましたがオトナ版よりも涙腺に訴える作品になったのかなとは思います。
オヤジで膨らませたシーンはズバリ「喫煙シーン」屋上でタバコ吸うなんで男のダメさ、オヤジの可愛らしさじゃないですか。脚本では3人くらいしか吸わないのですが、この喫煙シーンを人数も増やしてかなり膨らませました。

そしてオトナもオヤジも共通して新しい発見というかアプローチをしたのはヒカミ。オトナは椎名が、オヤジはワハハ本舗の佐藤さんという布陣。この二人が演じたのを見た時に僕はなんなら初めて「ヒカミいい人じゃん」って思ったんですよね笑。これまでマッドサイエンティスト然とした方向に演出としては振ることが多かったこの役ですが、今回はヒカミの「可能性」を信じてみたくなる説得力があったというか。なので、お二人にはそういう演出にしたいと伝え、結構意見を出し合いながら作り上げました。照明や音響も変化をつけたりしようかとスタッフさんと話したのですが、最終的に全部やめました。この役とお二人の演技は、演出としては今作で一番思い出に残っています。

このデッドリーシリーズはこの翌月に本家女子高生版が上演され、年末にはアリスインアリスインデッドリースクールというゴリゴリのスーパースピンオフが上演されてましたね。長く愛されてる作品のど真ん中、屋上に集った人々の人間ドラマは、オトナやオヤジでもある意味変わらないのかなと思いました。変わらないは語弊があるな。大人達が「二度目の将来」と言いながら夢を語るシーンは、やっぱりいいですよね。

次回は振り返りラスト「なまくら刀と瓦版屋の娘」です。2019年中に終わらせたいぞ。

今年一年振り返り⑥「紙風☆スクレイパー」

今年一年を振り返っています。

8月
UDA☆MAP
「紙風☆スクレイパー」

毎年夏の風物詩、UDA☆MAPです。宇田川美樹がPとなり、旬の女優を集めたユニットも来年10周年ですって。いやあすごいなあ。今年のコンセプトは「三国志×ソードアクション×グズグズコメディ」
最初は殺陣ものがやりたいというところから始まったと思います。仮タイトルは「るろうにUDA☆MAP」だったので笑、最初はまさに幕末あたりかなあと話してたと思います。UDA☆MAPには来年シーズン3をやる予定の「新宿☆アタッカーズ」という作品がありまして、それと時代とか雰囲気が近いなあといった話と、今回のテーマソングとなった曲の雰囲気から、中国歴史もの感がいいんじゃないかとなり、三国志の世界観となりました。

まあまあ調べましたね、三国志。全然知らなかったから。劉備とか関羽とか名前を聞いたことあるなあくらいの感じ。僕は戦国武将ものってあんまり響かないんだけど(理由は不明。女脳だから?)、三国志は面白かったなあ。曹操を主人公にした蒼天航路とか。
紙風のほうはと言うと、「蘇快(スカイ)」「外連(クリーン)」「雨引扉(ウインド)」という女三国が中華大陸の片隅にあって…というめちゃくちゃ架空の設定なんですが、だから三国志知らなくても全然いけちゃうんですが、三国志の「志」歴史というより「志(こころざし)」ってなんだろうと、それは知っときたいなと思ったのでした。結局は仲間や師をどう想うかみたいなところに行き着くんですけどね。というわけでどんどん少年ジャンプ化していったこの物語。バトルものってやっぱそういうとこあるよね。いいタイミングで主人公がシャキーンと登場するとか笑。実際にそんなシーンを照れもなく書けるのはUDA☆MAPの面白さのひとつです。

それでちょっとだけ三国志キャラ出たら面白いなと思い、椎名(wキャスト渡辺)が演じたお付きの超委(ちょうい)という役が実は実在した医師・華陀(かだ)という設定にしました。世界で初めて全身麻酔をしたらしいと文献に残っているようです。僕は結構マユツバな話だなと思ってますが。本当は男性でビジュアル的にはよく老人で登場しますが、そこは歴史を想像する面白さということで女性にしました。実は最初は、藤堂演じた舵違羅(だいら・ふりがな全部ふるのめんどくさいな)が、呉の国の有名な軍師・周瑜だったというオチを最初に思いついたのですが、ネームがデカすぎて架空の世界がぼやけちゃうなと思ってやめました。周瑜は確か矢の傷が原因で死ぬのですが、平井杏奈さん演じる義呂李(ぎろり)の矢だったというオチ。一応ラストバトルで刺さってるんですよね。

ソードアクションは大変でしたね。殺陣は藤堂と馬罵琉(バーバル)を演じた山本太陽君。特に長もの(槍と矛)の二人、神刄(じんば)の石井陽菜さんと、儒勢(じゅせ)の舞川みやこさんは苦労してましたね。舞川は努力の人ですよ。ほぼ初めての状態からひたすら稽古してた印象。佇まいもかっこいいし、儒勢は今作のMVPでしょうな。

ひたすら読み仮名ふってるから名前の話。この手の架空の名前はだいたい音の響きから決めます。「じんば」ってリーダーっぽいとか。翔孫(とんそん)と孫豚(そんとん)が姉妹とか(これ稽古場で自分でパニクった)。そこに漢字を当てていきます。今回のお気に入りの名前はなんだろ、儒勢もいいし、あと麓巾(ろっきん)かな。骨都(こっつ)も好き。骨の都ってなんやねん。

グズグズコメディの部分ですが、けっこう感想で「今回はあまりグズグズじゃなかった」と言われました。あんまりそんなつもりなかったんですけどね。UDA☆MAP通常営業のつもりだったんですけどね。昨年の「沼田☆フォーエバー」がクズグズマックスだったからかなあ。でもね、毎年グズグズしてるようで、私的にはグズグズは最後の産物というか、ちゃんと感動だったっり、興奮だったり、物語のど真ん中を描こうとは思ってます。アクションや仲間を想うみたいなところで結構骨太だったのかなあ。

宇田川さん、栞菜さん、市原君が演じたズッコケ探検隊。これ結構大事で、脚本的には難しかったですね。よくあるストーリーテラー的な立ち位置なので都合よく使えるんですけど、だから都合よく使っちゃいけないなと。そこで生まれたのがチョメチョメシステムです。巻物が読めなくなるという荒技。でもそういう風にしないと絶対この3人、そしてこの物語は面白くならないなと思って、歯を食いしばって書きました笑。チョメチョメの語源が山城新伍さんだったというのは忘れてた。

あとタイトル。宇田川さんと行ったお好み焼き屋のおばちゃんのヘラ捌きが凄くて「このヘラなんていうんですか?」って聞いたら「スクレイパーよ」こんな理由です笑。そこから伝説の武器が「ちっさ!」となり、最後落雷の避雷針になるという飛躍。神風にしなかったのは、若林さん演じる洲久姫(すーくひめ)が、最初紙風船で遊んでるイメージから。紙風船出てこなかった!

今年も暑かったですね。UDA☆MAP。7月にしてもお盆明けにしても、暑くなる宿命なのでしょう。本番中に涼しい日があると「あれ?」って思っちゃう。でもついに宇田川Pは来年の公演を9月の終わりに設定しましたよ。これで鬼残暑来たら笑うな。来年は10周年。すでに発表されている通り来年は「新宿☆アタッカーズ」のシーズン3です。グズグズのミステリー時代劇ですな。お楽しみに。

振り返りはあと2公演3作品。大晦日に持ち越しだなこれ。
次回は、
「オトナインデッドリースクール」「オヤジインデッドリースクール」です。

今年一年振り返り⑤高橋明日香一人芝居&字幕フォーラム

今年一年を振り返っています。
今回は短編公演をふたつ。

5月
高橋明日香一人芝居「DOLL」

あすぴーこと高橋明日香さんのソロイベントに一人芝居を書き下ろしました。ある日あすぴーから「会って話がある」と呼び出された時はそわそわしたな笑。彼女がフリーになり、自分でイベントを企画しようと立ち上げた第一弾だったようです。普通のトーク主体のイベントではなく、芝居を入れたクオリティの高いものにしたいと熱く語る彼女はアツかったです。ということで長年ご一緒してきたあすぴーへのプレゼントのつもりで書きました。超ハイテンポで一人8役という芝居を。

タイトル「DOLL」の通り、彼女は人形で、骨董品屋で売れ残っている。そこにその人形を買おうと様々な客がやってきて…。という物語。けっこうゲスいキャラで笑、可愛いだけじゃない感にしたのは彼女との長い付き合い由縁かな。店に来る客も全て一人で演じることになリます。列挙してみるか。

ドール(主人公)、老父、老婆、オタク男、少女、母、女子高生A、女子高生B

ちなみに女子高生のひとりは青柳伽奈のモノマネだったらしい。一応私らしい伏線のギミックを効かせて、コメディタッチに仕上げました。彼女が企画打ち合わせの時に「お客様の喜ぶ顔」「幸せな物語」「成長、新たな出発」というキーワードが出たので、それを反映した物語になったかなと思います。
稽古は10日前くらいから5回くらいだったかな。普通の稽古だと何か課題を出して「考えといて」と別のシーンをやるとか、待ち時間にキャスト同士で台詞合わせをするとかってありますが、ひたすら二人なので割と見守っていた印象かな。稽古場は当然ふたり(私とあすぴー)だけしかおらず、気まずかった思い出笑。

8月
字幕フォーラム&ショーケース
「アマゾンさん」「ふたりカオス〜惑星エリス〜」

これはどんな公演かと言うと、演劇に字幕をつけるシステムを実際に上演した芝居を見てもらいながら、作り手、利用者に体感してもらおうというショーケース公演でした。字幕はタブレットに出てくるので、観客はタブレットを持ちながら目の前の舞台を鑑賞することになります。代表の南部さんも、耳の不自由な方だけじゃなく、幅広く利用者を増やしていきたい、とおっしゃってましたが、まさにそういう需要ありそうだなと思いました。テレビのバラエティなんて字幕つきながら見ているようなものでしょ?あのテロップね。そういった「視聴補助」が今後すごく大事になってくるようにも思うのです。ご高齢の方に見やすくなるとかね。演劇の字幕にはそんな可能性があるなと思いました。

字幕にも色々種類がありました。
・演出字幕…演者の芝居に合わせて大きく出たり、アニメーションのように動いたり(どどーんと出るとか、弱々しくフェードアウトとか)まさにバラエティ番組のテロップのような字幕。
これは面白かったですね。観客の感想でもこれは評判が良かったです。視聴補助にもなるし、生の芝居と字幕の掛け合わせを楽しむ新しい観劇スタイルといってもいいかもしれないです。
・多言語字幕…日本語、英語、かんたん字幕、という三種類がありました。かんたん字幕というのは、お子さんや、日本語が少し分かる外国人向けの字幕で、ひらがなが多かったり、ルビがふってある字幕です。なるほどこういう需要もあるのかと勉強になりました。三種類を手元で選択します。確か上演前に選択して上演中は切り替え不可だったと思います。これが上演中に切り替えられるようになるとさらに楽しいでしょうね。英語と日本語をスイッチしながら見るとか。

今後の課題的な話をすると、
・タブレットずっと持ってるの重い。その会場には椅子に折りたたみテーブルがついてる場所でしたが、普通劇場にはついてないからなあ。
・字幕(タブレット)と舞台の見方。これ説明しずらいんですけど、タブレットの置き位置と言いますか。あ!そうそう、老眼を強く感じてしまったんだったわし。手前のタブレットの字幕から遠くの演者を見たらピントが合わないという笑。そういうふたつを同時に見る最適な位置ってなんだろう。でも字幕を舞台下や横に投影する形よりは、このタブレット形式の方が良いと思いますし、そういう声も多かったです。
・光もれ問題。劇場では電源から切って頂いている機器が客席にずらり並ぶわけですからね。まあ「タブレット公演」みたいに、切り分けるのが現実的でしょうな。最初からそこそこ客席も明るめが良いかもね。寄席みたいな。暗めのもの凄く照明タイトな作品は厳しいかもなあ。やりようはあるとは思いますがね。
・役者の台詞が聞き取りずらいのに字幕補助は素晴らしい力を発揮しますが、役者の滑舌やミスなどが全て晒されます笑。

といった字幕ショーケースに、椎名、藤堂、樋口、そして中舘早紀さんにご参加頂いて10分×2演目を上演しました。
「アマゾンさん」脚本は細川博司さん。ワークショップ用に書き下ろして頂いた作品があまりに面白くて「使わせてください!」とお願いしました。宅配便を届けに来た業者(アマゾンさんと呼ばれる)とその受け取りを拒否する玄関前の攻防を描いたコメディ。

「ふたりカオス〜惑星エリス〜」以前上演した二人芝居からの抜粋。藤堂と樋口が数年前に演じた役と同じ役を演じました。役者さんはやっぱりある程度残ってるものですね。久々に稽古しても当時の雰囲気は残ってた。

今後もこういったショーケース公演や、実際に字幕運用した公演を企画していきたいとのこと。その時はぜひ協力したいですね。私が関わる公演でも今後考えていきたいと思います。良い経験になりました。
あと会場が江戸東京博物館で、ちょうど脚本を書き始めようとしていた「なまくら刀と瓦版屋の娘」の良い取材となりました。

次回は8月UDA☆MAP「紙風☆スクレイパー」です。おお、1日2本ペースでいかないと終わらないぞ。

今年一年振り返り④「未来切符〜滋賀公演〜」

今年一年を振り返っています。

「未来切符」続き。

今年から「47都道府県制覇の道」という途方もない企画を始めまして(あくまでゆるーくね)その第一弾として滋賀公演を行いました。琵琶湖のそばにある「滋賀里劇場」というオープンしたての劇場で、なんと宿泊施設もあり、敷地でバーベキューもできるという都内では絶対無理なハイスペックを持ち合わせた劇場でした。ていうか都内にこういう劇場できないかな。他県の団体や若い劇団が泊まり込みでお芝居が作れて、終演後にバーベキューなんでけっこうな引きになる気がする。実際めちゃくちゃ盛り上がりましたね。あとキャストも楽しそうだった。終演直後にすぐ打ち上げできる、しかも青空の下で。そりゃ気持ちいいですよ。まあでも3日が限度かな。毎日バーベキューはそれはそれで。健康とかね。

バーベキューは制作チーム(とわし)の仕込みが大変でした。焼きそばですがね、制作の翼君がどこで仕入れた技術か知りませんが(ボブジャ制作の菅原さんのスキルだったかな?)野菜はバラバラに炒め、麺はレンジでやわらかくしてとか、別々に炒めて最後に混ぜるとか、超効率を極めて分業制で大量の焼きそばを作りました。給食センターみたいでした。私もカコ編2話になったあたりからひたすら鍋を振っていました。肉などの材料も車で20分くらい走ったところにあるコストコみたいな量販店で大量買い出ししてました。

劇場隣の建物に宿泊施設と稽古場が。愛犬ちくわも連れていけるという至れり尽くせりな環境。毎朝私、朝食作りましたよ。夕食は普段劇場でやっているケ(ケータリング)の比じゃない量が消費されて行きました。作っても作っても終わらねえ。足りねえ。の日々。キャストも(スタッフも)なかなかできない経験が出来て楽しかったと思います。こういうのは地方公演ならではなんだろうなあ。

相当な田舎で、コンビニまで車で行かないといけないくらいの場所でしたが、沢山の方にご来場頂いて、連日満員御礼が出るほどでした。旅気分で遠征してくれた方や大阪から東京へ舞台を観にきてくださる
方々などなど。あとなぜが石部さんが来てた笑。

この「47都道府県制覇の道」は本当にゆるい企画で、死ぬまで?(劇団が消滅するまで?)に達成するにはかなり途方も無いですが、少しずつ進めていきたいので期待せずお待ちください。ルールもゆるくて、劇団か劇団員(一人でも)がその土地の公演に参加したら制覇です。つまり椎名君が名古屋公演に出演したら愛知県は制覇です笑。とはいえ新しい土地を求めて少しずつ動いていきますが、これまでの街、大阪や滋賀などにもまた行きたいですしね。体と資金が沢山欲しいところです笑。

次回は、目次に書くの忘れてた。5月「あすぴー一人芝居〜DOLL〜」と字幕フォーラム&ショーケース「アマゾンさん」「ふたりカオス〜惑星エリス〜」です。毎年書いてるけど、年内に終わらせたい。