今年一年振り返り⑤「TRUSH!」

今年一年振り返り⑤

5月〜6月
劇団6番シード結成25周年記念公演第1弾
「TRUSH!」

いやー25周年の始まりは、ただただ祭りにしたかったのですよ。そしたら14年前に初演して以来のこの話を思い出しまして、西部劇、ダンス、おバカ、いいじゃないかと。ひたすらハッピーなこの物語で劇団25周年の幕開けできたのはよかったなあ。

初演からダンスダンスウエスタンと銘打って上演したのですが、ゆうてもそんなでもなかったので、今回はてんこ盛りにしたかったのです。

そこでエリザベスマリーの登場です。彼女は振付総監督として、キャスティング段階から協力してもらい、ダンス巧者を多数召喚し、生演奏チームも編成してくれました。この作品の半分以上は彼女の功績ですね。

そしてジャグリングもやろうってなってバンタムの沖田幸平君を召喚。ジャグリング練習は、本番3ヶ月前の3月頭から始まりました。準備に時間がかけれたのも25周年1発目としてよかったですね。

ジャグリングは藤堂、土屋、宇田川などはかなりの腕前になってましたね。藤堂は玉一個高く投げてくるっと回ってまたジャグる、みたいな新春かくし芸大会のトシちゃんみたいだったよ。若い人には分からないか笑

ダンスも本稽古開始前(2ヶ月前くらい?)からワークショップを重ねて準備しました。そうそう、ダンスと言えばタップ。樋口の見てくれとキャラから絶対タップが似合うと思い、ひたすらタップ練習をさせました。タップマスターの篠原さん、平井さんを師と仰ぎ、ひたすらやってましたね。公演終わってからもレッスン受けてたな。一芸持つっていいことだからね。どこかでまた披露できるといいね。
篠原、平井、後藤のタップ共演は圧巻だったなあ。タップってテレビで観てもやや地味な印象なんだけど、生で観ると凄かった。

生演奏チームも作品を彩ってくれました。歌詞付きの楽曲は作詞私、作曲はアコーディオンの清水ゆりさんを中心に楽団チームがすべて作ってくれました。

脚本の話になっていきますが、プロローグは脚本的にすごく悩んでて、ある時、あ、歌から始めようと思って物語の世界観がぐっと進んだのを覚えています。歌詞の中で早速「働く男は皆死んだ」と最初に言っちゃう感じとかも気に入っています。

歌と言えば、ミッドポイント(劇シナで間違った使い方ということが判明しましたが、今後も使います笑。私的ミッドポイントは物語の底、クライマックス前の一番大事な時間)の「決起の宴」ですね。あれはいい歌だったなあ。作詞私、作曲ゆりさん。「さあ、耳をすませるんだ…」のアレ。
動画リンクが分からないので、youtubeで検索してみてください。6番シード、トラッシュ、で出るかな。アクトほとんど動画アップされています。

まあぶっちゃけグレイテストショーマンの影響かなあ笑。グレイテストのメイキング動画がいいのよ。映画が撮れるかどうかのプレゼン会場でキャストが本能のままに盛り上がるみたいな。こういうのやりたいなって。

リズ(エリザベスマリー)はとにかく引き算でこの歌のアクトを振付したそうです。引き算ってなかなかできないんだよなあ。彼女はそこがうまいかなと思います。ジャグリングがメインとなるアクトで、最初いろいろバックに振付したらしいんだけど、マシュー(藤堂)のジャグリングを立てる為にシンプルな振りに変えたりしたみたいです。

脚本はそんなこんなでほぼ書き直しました。ラストバトル(クライマックス)を台詞なしのト書きだけで書き、そして無声芝居で演出できたのは嬉しかったなあ。なかなかできないんですよ。風呂敷が畳めないみたいな。おバカでハイクオリティなアクトでこの芝居を終えられたのは気に入ってます。小沢さんの宙吊りはウケ過ぎ笑。
まあ25周年のご祝儀的な演出ということで。

舞台美術やらダンスアクトやら、かなり派手に贅沢に、もちろん真摯に盛り込んだのですが、終わってみたら「あー楽しかった!」で終わる物語を目指しました。ライバルは舞台でも映画でもなく、

ディズニーランドだったかも知れません。
心踊るエンターテイメントって偉大だな。

あー楽しかった!な公演でした。

次回は
UDA☆MAP「沼田☆フォーエバー」です

今年一年振り返り④「Dプロジェクト上映会〜クリュウ編シーナ編〜」

今年一年振り返り④

4月「Dプロジェクト上映会〜最終章クリュウ編シーナ編〜」

これも、今年か〜!!

もうずいぶん前に終わった感。まあ長いプロジェクトでしたからね。足かけ3年かな。この章の撮影を振り返ったら平成何年かわかんないや笑。ついに完成というか、最終章までこぎつけました。

最終章はなんと50分(もっとだったかな)の上映尺。全編通したら2時間40分超えの超大作をインディーズ映画で作ったことになります。

きっと、

この作品は、

1本の長編映画となり、たくさんの方々に観て頂いた時に、本当にしっかり振り返りするんだと思います。今山岸監督とプロジェクトヤマケンのみんなが、長編映画版の最終仕上げと、映画祭出品を進めています。来年の夕張国際ファンタスティック映画祭に出品予定です。グランプリ取りたいな〜!それがこのプロジェクトに関わってくれた人達への恩返しだもんなー。

という訳で、そういった映画祭出品の後、皆様に映画館での公開となる予定です。長編化にあたって新タイトルも一般公募しまして、新しいタイトルが決まりました。そのタイトルは…

それももうちょっと待ってね笑

今年「カメラを止めるな」というインディーズ映画が話題になりましたね。僕はこの映画を観るのがちょっと怖かったんです。圧倒的な力の差があったらへこむなって。
素晴らしい映画でした。でも僕達も行ける、山岸監督行けるって思って、超満席の日比谷東宝シネマズを出ました。逆に勇気が出ました。

劇場版はかなり違う印象の、まったく新しい映画になっています。編集だけでこんなに変わるのかと。ちょうど大阪の劇団文化祭の頃だったから、宿で劇団員と観ながら「え、嘘!」「まじか!」など驚きと感嘆の声を上げながら観ました。あ、こないだ追撮もしました!

あー来年が楽しみ。

Dプロ、跳ねろ!!

写真見ても、やっぱ今年じゃない感。
あれ、本当に今年?

このシーンはやっぱりいいね。

今年一年振り返り③最後の1フィート

今年一年を振り返っています。
振り返りその③

3月
犀の穴プロデュース
「最後の1フィート〜一篇の映画を巡る3つの物語〜」

よく「キャスティングは松本さんが全部決めてるんですか?」と聞かれることがありますが、劇団公演はほとんど私が決めます。それ以外のプロデュース公演とか外部でお仕事頂く場合は、ほとんど口を出しません。もちろん少しは助言や演出の意向を伝えることもありますが、口を出さないほうが面白いからそうしています。新しい人との出会いにもなりますし、意外なキャスティングで面白くなったり、逆に苦労したり、苦労したからこそまた面白くなったり。

前置きが長くなりました。まさしくこの公演はそういう新しい出会いに溢れた公演でした。蜂巣和紀君と清水凜さん以外はすべて初めてという俳優陣。後に劇シナに出演して頂くこととなる古本新之輔さん、石田太一さんもこの現場で出会いました。

しばらくはマイ脚本お気に入りランキング第一位だったこの物語はどこかで再演したいと思ってたんですよね〜。「北風のアルペジオ」という地味な映画に関わることとなった3組の人々のオムニバス。

映画を急遽宣伝することとなったお笑い芸人達と新人助監督。
映画の撮影許可を巡って、警察の会議室で、フィルムコミッショナーと交通課課長がバチバチ火花を散らす後日譚。
その映画の上映最終日に小さな映画館の映写室で起こった小さな奇跡。

映画に関わってるんだけど、本編の映画の内容はまったく描写せず(会話の中で出てくるだけ)、その断片がそれぞれの人生を照らす的な物語。後に「ふたりカオス」に繋がるような構成ですね。

まあゴリゴリの会話劇ですわ。第2話のフィルムコミッショナーを演じたSetsukoさんはマジてんぱってたなー。凄まじい台詞量なんです。

この物語を語る時必ず言ってるんですが、この第2話が凄く気に入ってるんです。地方都市の祭(どんどんじゃ祭りという名前)の風景を撮影しようと誘致したフィルムコミッショナーが、それを妨害したかのような警察の横柄な態度に激怒するけど、実は警察は撮影クルーを暴走族から守る為に先回りしていたというどんでん返し。女2人のまさに魂のバトルです。Setsukoさんと高宗歩未さんという初めての女優さんと作り上げた苦悩と喜びは記憶に残ってますね。高宗さんよかったなー。

あと久々(というか2度目)の3面舞台にしました。劇シナは2面でしたが、さらに奥に客席がある感じ。ミザンスと呼ばれる立ち位置調整はカオスでした。どの面からも大事なシーンや台詞がストレスなく見えるよう、実はまさにミリ単位で調整しましたね。感情表現が大事な作品でしたが、一方で「凜ちゃん、あと5センチ後ろで泣いて」みたいな。

この作品は私的にはかなりやり切った感があるので、他の演出家さんとかで観る機会ができたら嬉しいなあ。

本番の写真なかった。

次回は
4月「Dプロジェクト上映会〜最終章クリュウ編シーナ編〜」です。

今年一年振り返り②「ある日僕らは夢の中で出会う」

今年一年振り返り②

2月
島崎翼プロデュース6C番外公演
「ある日僕らは夢の中で出会う」

高橋いさをさんの名作戯曲(30年くらい前)を松本が演出したらどうなるか、というコンセプトで島崎が企画した番外公演でした。
菅野英樹主演、宇田川美樹、土屋兼久、椎名亜音出演

いやー苦労しました!!ほんっと苦労しました!!原作はいわゆる不条理劇、メタフィクションというジャンルらしく、僕が得意とする明確なストーリーラインに沿っていない脚本。いや実はちゃんとあるんですよ。でもそういうのを壊そうぜ、みたいな当時の演劇界の機運とかあったのかな。その最先鋒だったんだと思うんです。高橋いさをさん。それで私は一周か2周回って「ベタっていいよね」みたいな境地にいた作家だったので、もっかい言いますが、ほんっと苦労しました。演出がなかなかはっきり道を示さないので、椎名亜音と何回かモメました笑

だから悩み悩み演出をして、膨大な試行錯誤を繰り返しました。盆舞台(回転舞台)にするというアイデアは面白かったと思います。演出って一言で言うと足し算なんですよね。面白い(にもいろいろありますが)を足す作業。盆舞台、奇抜な衣装、ユニゾンがやがや、などなどとにかく日々足すことを意識したと思います。

そして最終的にたどり着いた境地は「難解劇をきちんとわかりやすく難解に届ける」という考えでした。禅問答みたいですが「スーパーわかりやすい難解劇」を目指し、そしてそれが出来たかなあと思っています。足すだけ足して最後にいい引き算ができたかな。

この作品から「わかりやすさの面白さ」と「わかりにくさの面白さ」を考えるようになったかも。今書いてて思ったのですが「劇シナ」に少し影響が出てるかも?
とにかく絶対やらない世界観の演出にチャレンジ出来て、大変だったけど収穫もあった公演でした。

出演の菅野英樹はナイスキャスティングだったと思います。彼は熱とスマートとバカがちょうどいい。宇田川さんの最後の熱い長台詞(熱く早くやってくれとお願いしました)を聞いて、つかさんの熱海に出てる宇田川さんを観てみたいなと思いました。

演じ継がれる戯曲っていいですね。

次回は
「最後の1フィート〜一編の映画を巡る3つの物語〜」です。

今年一年振り返り①「ゼロヨンヨンの終電車」

今年一年振り返り①

1月
アリスインプロジェクト
「ゼロヨンヨンの終電車2018」

脚本と演出を担当しました。

まあ毎年振り返り一発目に思うこと。

これ今年かー!!!!

まあ12月から稽古して年明け早々の公演だったので、半分昨年の実績。

これまで沢山の芝居を一緒に作ってきた盟友?高橋明日香主演ということでわりと急遽の依頼だったのですが、劇団過去作をあすぴー主演でやったら面白いなと思い引き受けました。

原作の劇団公演は10年前くらいかな。小沢和之演じる主人公のサラリーマンが新宿駅で痴漢と間違えられたところから物語が始まり、別の事件で逃げていた風俗嬢と逃避行をするというサスペンスもの。

という大枠だけ残して、すべて書き直した完全新作ですね。高橋明日香演じる高校教師黄彩花と、梅田悠演じる男装ホストMISAKIの逃避行のドラマとなりました。

アリスインプロジェクトですから出演者は全員女性。初演の探偵コンビも舞川&中塚の女性デコボココンビに。このコンビよかったなあ。
ボーダーズと呼ばれる廃屋を寝ぐらにした不良少女グループなど、スワロウテイル大好きな私としては本当に好きな世界観で楽しく書きました。いや新宿ダークすぎだろ笑

なかでも悪役刑事の宇田川美樹と花奈澪が良かったなあ。キャラクター設定が嘘しかない笑。若い女の子がひしめくアリスさんに宇田川がアホみたいに怖い役で出て、物語の真ん中で北野映画ばりの殺戮シーンがあるとか。

いやあ、楽しかったです。その時殺されたホストを演じていた喜屋武蓮ちゃんは、宇田川さんの舎弟みたいになり、その後のUDA☆MAPでもすぐ死ぬ役になりました笑

花奈さんがボーダーズの足を撃つシーン、針谷さん演じたホストリーダーを宇田川さんがボコるシーンなど、アリスさんで自由にチャレンジさせてもらいました。

高橋明日香と梅田悠のコンビ感や役者同士のシンパシーも作品を底上げしたひとつの要因だったと思います。

最終的にお客様には見えない(でも感じる?)部分なのですが、高橋明日香だから集まったキャストもいたり、私もあすぴー主演ならこんなことやらせたい、といった思いが最終的に響いた作品かなと思います。

ほぼ新作だった今作ですが、初演で反省した部分を改良して書き直せたので作家としては非常に満足している作品です。音楽は初演と同じく空感さんの楽曲を使わせて頂きました。

中盤アクトの「Monster blast」の鬼振り付けは松本稽古さん。彼女のアグレッシブな振りは好きだなあ。
ラストシーンの「儚〜HANA0:44〜」も名曲ですよね。もう一度この曲でラストシーンを書けて幸せでした。ラストに渡辺菜友の何気ない台詞で終わるのも気に入ってます。

次回は
「ある日僕らは夢の中で出会う」
です。お楽しみに!