松本2020ラインナップで新年ご挨拶

七種粥です。新年明けましておめでとうございます。昨年引きこもっていた日々が多かったということもあり、今年は外へ出て行く一年にしたいなあと思っています。ズバリ「攻めの一年」です。新年会にも行ってみた。

重複したようなことを書きますが、昨年は内へ内へ、良い言い方をすれば作品作りに没頭していたようなところがあります。なので今年は外へ外へ。いろいろな人と出会ったり、一緒に仕事したりっていうのもありますが、もっとSNSなどでも発信を強くしていきたいなと思っています。サボらないという言い方に置き換え可。なのでこのコラムも、

週イチで更新する。

を具体的な目標にしてみます。変な言い方ですが、自分の知名度をもっと上げていく意識もちゃんと持とうと思っています。このコラムの更新頻度もまあその一環といいますか。

といくつか今年の決意を書いたところで、こちらは毎年恒例、今年一年のラインナップで新年のご挨拶。

―1月―
映画「ディープロジック」ついに公開!
1月18日より新宿K’sシネマにて4年の歳月をかけて製作した長編映画「ディープロジック」が公開!先駆けて1月12日(日)には前夜祭を開催!劇団のPVから始まった劇団発、演劇界発の映画がいよいよ世界に船出します!

今年はこれからスタートか。この映画がどこへ行くのか私にも全く想像がつきません。12日は前夜祭イベントあり。

上映詳細、前夜祭詳細
ディープロジック特設サイト
https://www.deeplogic.jp

ー2月5日(水)〜12日(水)ー
UDA☆MAP NEXT「KAIRO」
大塚萬劇場

ただいま絶賛稽古中の作品。脚本は細川博司さん。私は演出を担当します。久々の細川脚本の演出、楽しっ!しかも世界観がすごいんですよ。フライヤーには「超未来ハードボイルド・サスペンス」とあります。なんじゃそりゃ、と思うでしょ。ホントに超未来でハードボイルドでサスペンスです。プロデューサーの宇田川美樹が「女優だけでハードボイルドがやりたい」ということで普段のUDA☆MAPとは全く違う毛色の作品に挑みます。それがカイロです。
「警告。勇敢なる者よ、その回廊に踏み込むな」

―2月15日(土)16日(日)―
「六番寄席新春演芸大会〜2月だけど新春だよ!オリンピックイヤーの始まりは景気良く行こうぜ歌あり落語あり生演奏あり大喜利ありタップあり赤裸々トークありなんでもありの初笑いイベント(仮)〜」

池袋シアターKASSAI
全3ステージ予定

「KAIRO」終わった週末。こちらは今年初の劇団イベントですね。劇団ではお馴染みの劇場がちょうど空いていたので、久々に映像上映系ではないイベントがやりたいねということになり、まさかの演芸大会というタイトルに笑。私は前々からやってみたかった落語にチャレンジしたいと思います。いや大変そうだな、とやっぱやめ的気持ちに何度も襲われるのですが、ほら、今年の目標は、攻めと外だからね、頑張ります。
詳細は近々発表になるかと思います。

4月15日(水)〜5月3日(日)
6番シード×バンタムクラスステージ×Bobjack Theater×ENG合同公演
「MIX UP!!」
池袋シアターKASSAI

まさかの4団体コラボ公演が実現!主宰が、劇団員が、演出家が、脚本家が、俳優がミックスアップして火花を散らす!キャスト情報など情報解禁第一弾は1月下旬予定です。

こちら昨年春くらいからコツコツと準備してきた合同公演。ミックスアップというタイトルいいですね。ボクシング用語で「殴り合い、高め合う」みたいな意味(ざっくり)。佐藤ののぶさん命名。4団体とゆかりの俳優達が殴り合い高め合うがいいよ。私は脚本と演出を担当します。その組み合わせもミックスアップさ。詳細1月終わりくらいに出る予定です。

ー6月26日(木)〜7月5日(日)ー
6番シード第70回本公演
「ミキシングレディオ2020」
池袋シアターKASSAI
記念すべき70回公演は、過去3度再演されてきたノンストップコメディの金字塔「ミキシングレディオ」。ラジオ局の生放送の裏側を完全ノンストップで描く松本コメデイ代表作!主演のラジオパーソナリティ・秋山真希役は椎名亜音!ノンストップ生放送をお楽しみに!情報解禁は3月下旬ごろの予定です。

劇団本公演。70回ですって!劇団では久々の再演演目であります。昨年秋?くらいから「6c公演ではバリバリのコメディをこれでもかっ!って見せつけたいなあ」という謎のコメディ欲が出まして(逆にシリアスだったり感動ものをやりたい欲の時期もある。周期は不明)、昨秋の「なまくら刀」に続いてのノンストップシチュエーションコメディでございます。なまくらもなかなかにハードな演目でしたが、(たぶん)この演目の方がキャスト体力消費は凄まじいです笑。新たに6c参戦の人達なんかもいるので、ストイックにコメディを突き詰める日々になりそうです。

ー9月30日(水)〜10月4日(日)ー
UDA☆MAP
「新宿☆アタッカーズ シーズン3」
池袋シアターグリーン BIGTHREE THEATER
UDA☆MAPの10周年記念公演です。もう10周年か。早いなあ。宇田川美樹プロデュースの旬の女優を集めたユニットで、この「新宿☆アタッカーズ」過去シーズン1、シーズン2と人気を博した江戸の盗賊三姉妹のミステリーコメディの続編です。続編というよりシーズン3って言った方がしっくりくる。毎年猛暑に襲われるUDA☆MAPは今年はついに9月末に公演時期をずらしてきた!でもね、きっと暑いんじゃないかな。

ー11月18日(水)〜29日(日)ー
6番シード第71回本公演
連ドラ演劇
「ウィキペディアの男・ヤフーニュースの女・炎上トランスジェンダー」
池袋シアターKASSAI
連ドラ演劇始まる!演劇界(たぶん)初、全12話の連ドラスタイルの物語が始まります。シナリオはもちろん松本陽一による完全書き下ろし!新型SNSで生きる人々を描いたロングライフヒューマンドラマ!2021年5月まで全3回の公演で珠玉の連ドラ演劇をお届けします!

さあさあ、やっちまいますよ。連ドラ演劇。細い公演形態はこれから詰めていくのですが、いわゆる連ドラと同じ、1時間の物語を全12話、翌年の5月くらいまでかけて3回公演で長〜い物語を紡ぎます。
僕連ドラ見てて最近一番思うのはこの「時間」の面白さなんです。ストーリーの面白さはもちろんなんだけど、ずっと観続けることで登場人物への感情移入や愛情、共感といったものが当たり前ですがガンガン深まるんですよね。書き手にも演じ手にもあると思います。その感覚をやりたいなって。だから12時間の物語を作ってみようと思ったのでした。なかなか挑戦的な企画ですが楽しみにしててくださいね。

というわけで今年ほぼ豊島区!ほぼ池袋!というラインナップです。
今年は忙しくなりそう。でも外に外に出ていくぞの年なので、8月とかまだ空いてますからね、お仕事の依頼も是非お待ちしております。
でももう一つの目標が「健康数値の維持」です。昨年3ヶ月禁酒して、体重5キロ減、血圧も正常値を叩き出し、それ以来休肝日も作っていい感じになっているのでね。これも頑張ります。

では。本年もどうぞご贔屓に。

2019「俺アカデミー賞」ツイートまとめ

俺作品を俺が表彰する完全俺企画「俺アカデミー賞」遊びで始めたこの企画も年末恒例行事みたいになりました。今年の俺アカツイートまとめ。

俺アカ①俺作品を俺が表彰する俺アカデミー賞。今年のノミネート作品はこちら。
「未来切符」
「DOLL」
「紙風⭐︎スクレイパー」
「オトナインデッドリースクール」
「オヤジインデッドリースクール」
「なまくら刀と瓦版屋の娘」
です。各賞連ツイしまーす。
#俺アカ2019

俺アカ②オレ見た作品賞。今年観た舞台作品から。
「陽だまりの中で」林家畳
「母という名の怪物と朽ちた筈の愛」
「何もない空間の男」X-QUEST
「KNOCK KNOCK KNOCK或いは別れた記憶たち」PMC野郎

最優秀オレ見た賞は「陽だまりの中で」です。おめでとうございます!

俺アカ③技術賞各賞
美術「なまくら刀」青木拓也
照明「紙風スクレイパー」榊原大輔
音響「紙風スクレイパー」兼坂香弥
舞台「紙風スクレイパー」澤井克幸
衣装「なまくら刀」車杏里
ビジュアル「なまくら刀」ビジュアルT
制作「紙風スクレイパー」制作T

皆様おめでとうございます!

俺アカ④脚本賞
「未来切符」カコ編・ミライ編
「DOLL」
「紙風スクレイパー」
「なまくら刀と瓦版屋の娘」

最優秀脚本賞は
「未来切符」ミライ編
です。おめでとう!俺!

俺アカ⑤劇団員賞
今年内外で活躍した劇団員は、
宇田川美樹です。
おめでとう!

俺アカ⑥新人賞
キャリア関係なく今年初めて俺作品に出演した方対象。
七海とろろ「紙風スクレイパー」
関谷真由「紙風スクレイパー」
白石裕規「オヤジデッドリー」
牧野純基「未来切符」
冨田浩児「なまくら刀」

最優秀新人賞は、
冨田浩児さんです。おめでとう!

俺アカ⑦助演男優賞
宮井↓↘︎→↓↘︎→+P「未来切符」
佐藤正宏「オヤジデッドリー」
佐藤修幸「なまくら刀」
藤堂瞬「なまくら刀」「紙風」
浮谷泰史「なまくら刀」

最優秀助演男優賞は、
藤堂瞬です。おめでとう!

俺アカ⑧助演女優賞
那海「未来切符」
宮島小百合「未来切符」
舞川みやこ「紙風」「なまくら刀」
八木橋里沙「オトナデッドリー」
宇田川美樹「なまくら刀」

最優秀助演女優賞は、
舞川みやこさんです。おめでとう!

俺アカ⑨出演男優賞
土屋兼久「未来切符」
小沢和之「未来切符」
布施勇弥「オヤジデッドリー」

最優秀主演男優賞は、
布施勇弥さんです。おめでとう!

俺アカ10 出演女優賞
宇田川美樹「未来切符」
七海とろろ「オトナデッドリー」
高橋明日香「DOLL」
椎名亜音「なまくら刀と瓦版屋の娘」

最優秀主演女優賞は、
椎名亜音です。おめでとう!

俺アカ11 演出賞
こちらも絶対俺が受賞します。
「未来切符」
「DOLL」
「紙風スクレイパー」
「オトナデッドリー」
「オヤジデッドリー」
「なまくら刀と瓦版屋の娘」

最優秀演出賞は、
「未来切符」の俺です。おめでとう俺!

俺アカラスト 作品賞

今年一番評価の高かった作品は…

「なまくら刀と瓦版屋の娘」

です。関係各位おめでとうございます!

#俺アカ2019

今年一年たくさんの方々と芝居を作り、たくさんの方々に観劇頂きました。ありがとうございました😊令和元年ありがとうございました!お疲れ俺!

今年一年振り返り⑧「なまくら刀と瓦版屋の娘」

今年一年振り返りラスト!

11月
6番シード
「なまくら刀と瓦版屋の娘」

これも未来切符と同じくファンミーティングからアイデアを得た作品。
・舞台裏もの観たい
・一方その頃舞台裏では、みたいなやつ
これに時代劇を掛け合わせたら面白いと思ったのがスタートです。それがあの表と裏の2幕舞台となりました。

我ながらよい発想だったかなと思います。表と裏もあるんだけど、時代劇と掛け合わせるってほうが実は重要だったかなと思います。時代劇ってそれだけで面白いでしょ。そこに現代劇でも面白い構成を足すっていう。衣装も華やかでよかったですね。車杏里さん。時代劇のスペシャリストくらい沢山の時代劇を手掛けてらして、様々なアイデアを頂きました。どプレーンなリアリティのタイプから2.5的なアニメ感のある創作ものまで。今回はリアリティよりやや華やかにポップにと発注。土屋演じた号蘇(号蘇)がちょっとかぶいた足袋を履いてたりね。見えない(見えてるか)とこにもこだわりが光りました。若林さん演じたお玉の町娘感好きだなあ。

脚本は苦労しましたね。あと稽古しながらかなり直しましたね。久々にこんな直したかも。役者泣かせでごめんなさいてへ。同じ時刻の表と裏を描きながらストーリーも進めるという難度。表と裏の整合性はね、そんなに苦労しなかったですよ。同時に書き進めたので。一番苦労したのは、

椎名演じる主人公、お紙が当たり前だけど半分の時間はハケて舞台上にいない。

です。いや最初から分かってましたよ。分かってましたけど、やっぱ難しかったですねー。1幕書いてる僕と2幕書いてる僕がドラフト会議するみたいな。「いや1幕さん冒頭からかなりお紙出てたでしょ?そろそろこちらに…」みたいなことです。だから2幕は、宇田川さん、石部さん、佐藤のぶさんのベテランスリートップで始める、みたいなね。この3人は信頼置けるキャストだし、本当に強かったなあ。宇田川さんと石部さんはがっつり絡ませてみたかったですね。のぶさんは稽古も本番も汗凄かったですね。最後らへんは衣装が色ガラがわりしてましたね。

キャストは皆よかったなあ。寸止役の冨田君、三平太役の浮谷君、義次役の五十嵐君、ふんどしトリオね、はこの作品と座組みを引っ張ってくれた印象。あと藤堂の別候はよかったなあ。男色の刀鍛冶。藤堂はローテーション気味のボケキャラは無双だな。実際何やっても笑い取る無双だったしな。

椎名には最初、あんまりツッコミにならないようにする、と言ってたのですが、まあまあ千本ノック状態になってましたね。タフな役でした。千秋楽、終演直後ちょうど楽屋でカメラ回してたのですが、「生き延びたぁぁ!!」みたいに吠えながら戻って来てました。

実験的に面白かったのは、1幕で藤堂演じる別候が奥座敷に消えて、1分くらい舞台上誰もいないシーン。事故かと思ったという感想が笑。あとクライマックスは襖をお紙がスパーンと開けて決め台詞を言うというのがやりたくて、でも1幕は意味わかんないんですよね。でもやっちゃえ!ってやりました。やらないバージョンの台本もありましたな。だから2幕観て全部繋がった!みたいな面白さや、そういう感想をたくさん頂きましたが、完全に計算はしてないですね。だから表裏という構造アイデアがやっぱりいいんだと思います。

この「表裏コメディ×時代劇」は面白いし、まだまだアイデア出そうだし、たぶん僕専売感あるから、早速続編決定を千秋楽で発表しました。タイトルは「火消しの辰と瓦版屋の娘」面白そうでしょ?打ち上げでキャスト陣は火消しの辰って何者?という話題で盛り上がっておりました。に2021年のどこかで上演予定です。お楽しみに!2020年じゃないからお間違いなく。気長に待ってね^_^

というわけで振り返り終わり!今年も一年ありがとうございました!来年の予定は、6番シードは恒例の元旦発表、私も3がにちくらいでこのコラム書きまーす。皆さまよいお年を!

今年一年振り返り⑦「オトナインデッドリースクール」「オヤジインデッドリースクール」

今年一年を振り返っています大晦日だよもう。

9月
松扇アリス
「オトナインデッドリースクール」
「オヤジインデッドリースクール」

演出を担当しました。脚本は麻草郁さん。
過去何度か演出しました「アリスインデッドリースクール」のスピンオフ的作品。元の作品は女子高生達の物語。ある日世界が動く死体で一変し、学校の屋上に取り残された女の子達は何を決断するのか、といった物語。アリスインプロジェクトさんで長く再演を重ねている人気作です。
今回はこれを大人の女性版「オトナイン」と親父達が集う「オヤジイン」で上演しました。確か昨年のパンフ対談で麻草さんと「オヤジの屋上やりたいね」みたいな話が実現したのです。こういうのってなかなか実現しないんですよね。面白いと思ってもね。だからなかなかレアな企画でした。

だからなのか演出してても楽しかったですね。私としては勝手知ったる?デッドリーの屋上に、大人達が集うんですから。連日2現場の稽古だったのでスケジュール的には大変だった印象ですが、こういう企画はある意味夢のようで、本当に楽しかったです。では個別に。

「オトナインデッドリースクール」
主人公ユウを演じた七海とろろさんがとにかく出色に良かったですね。本人のEQというのか対応能力の高さと、ユウが持つどこか不安で儚げな弱さがピッタリはまりました。現場ではとにかくユウのボケを増やしまくりました。台詞の合間にとにかく「入れていけ!」と。ミズキやベニシマ で屋上が凍りついても、臆することなく行け!と笑。八木橋さん演じるミズキが自然淘汰について話す時に「こ・う・や・ど・う・ふ」と入れたとろろは侍だと思う。
相方のノブ役の遠藤さんは2回目のデッドリーで高森をやって以来に現場でご一緒しました(日替わりとかは除く)。遠藤さんは昔はちょっと優等生ぽかったのが、しばらく見ないうちにだいぶ僕好みのぶっ壊れ系女優になりましたね。いや、褒めてます褒めてます。昨年ユウをやって今年はノブ。そんな彼女ですから、ツッコミという役割なんだけどwボケの面白さもあって。だからより一層「二人にボールを集めろ!」みたいな指示を出しましたね。
これはオヤジでもそうですが、女子高生だから響く瑞々しさとでもいうのか、そういう面白さと、オトナだから出せる味や魅力、その違いはより意識して演出したように思います。その象徴が市長役のSetsukoさんかなあ。真野さんとの焼却炉のシーンは、女子高生版とは違う涙となりました。

「オヤジデッドリー」
これはもうね、くせが凄い。普通座組みにオヤジ(今後も愛を持ってオヤジと書きますね)って一人ですよ。いても二人。この座組は、若い人もいましたが半分以上オヤジ。平均年齢40超えの座組み。僕としても先輩の皆様と一緒に芝居を作れて刺激しかない稽古場でした。ヒカミ役の佐藤さん、イナリ役の白部さんなど、真摯に役に向き合い、そして時に若手が驚くほどの毒、といってもいいのかな、強いエネルギーを出してきます。真正面から向き合わないと、と演出として思いました。がっぷり四つ相撲だぞと。イナリの「監督になりたーい!」という絶叫は白部さんのアイデアでしたが、デッドリー史上初(だったかほとんどなかったか)だったようです。

そんな中、ユウの布施君は不器用ながら熱い芝居で周囲を唸らせてましたね。いやマジで不器用ですこの人。だからこそのスイッチ入った時の力がすごい。こういう役者さんに久々にあった印象です。予想はしてましたがオトナ版よりも涙腺に訴える作品になったのかなとは思います。
オヤジで膨らませたシーンはズバリ「喫煙シーン」屋上でタバコ吸うなんで男のダメさ、オヤジの可愛らしさじゃないですか。脚本では3人くらいしか吸わないのですが、この喫煙シーンを人数も増やしてかなり膨らませました。

そしてオトナもオヤジも共通して新しい発見というかアプローチをしたのはヒカミ。オトナは椎名が、オヤジはワハハ本舗の佐藤さんという布陣。この二人が演じたのを見た時に僕はなんなら初めて「ヒカミいい人じゃん」って思ったんですよね笑。これまでマッドサイエンティスト然とした方向に演出としては振ることが多かったこの役ですが、今回はヒカミの「可能性」を信じてみたくなる説得力があったというか。なので、お二人にはそういう演出にしたいと伝え、結構意見を出し合いながら作り上げました。照明や音響も変化をつけたりしようかとスタッフさんと話したのですが、最終的に全部やめました。この役とお二人の演技は、演出としては今作で一番思い出に残っています。

このデッドリーシリーズはこの翌月に本家女子高生版が上演され、年末にはアリスインアリスインデッドリースクールというゴリゴリのスーパースピンオフが上演されてましたね。長く愛されてる作品のど真ん中、屋上に集った人々の人間ドラマは、オトナやオヤジでもある意味変わらないのかなと思いました。変わらないは語弊があるな。大人達が「二度目の将来」と言いながら夢を語るシーンは、やっぱりいいですよね。

次回は振り返りラスト「なまくら刀と瓦版屋の娘」です。2019年中に終わらせたいぞ。

今年一年振り返り⑥「紙風☆スクレイパー」

今年一年を振り返っています。

8月
UDA☆MAP
「紙風☆スクレイパー」

毎年夏の風物詩、UDA☆MAPです。宇田川美樹がPとなり、旬の女優を集めたユニットも来年10周年ですって。いやあすごいなあ。今年のコンセプトは「三国志×ソードアクション×グズグズコメディ」
最初は殺陣ものがやりたいというところから始まったと思います。仮タイトルは「るろうにUDA☆MAP」だったので笑、最初はまさに幕末あたりかなあと話してたと思います。UDA☆MAPには来年シーズン3をやる予定の「新宿☆アタッカーズ」という作品がありまして、それと時代とか雰囲気が近いなあといった話と、今回のテーマソングとなった曲の雰囲気から、中国歴史もの感がいいんじゃないかとなり、三国志の世界観となりました。

まあまあ調べましたね、三国志。全然知らなかったから。劉備とか関羽とか名前を聞いたことあるなあくらいの感じ。僕は戦国武将ものってあんまり響かないんだけど(理由は不明。女脳だから?)、三国志は面白かったなあ。曹操を主人公にした蒼天航路とか。
紙風のほうはと言うと、「蘇快(スカイ)」「外連(クリーン)」「雨引扉(ウインド)」という女三国が中華大陸の片隅にあって…というめちゃくちゃ架空の設定なんですが、だから三国志知らなくても全然いけちゃうんですが、三国志の「志」歴史というより「志(こころざし)」ってなんだろうと、それは知っときたいなと思ったのでした。結局は仲間や師をどう想うかみたいなところに行き着くんですけどね。というわけでどんどん少年ジャンプ化していったこの物語。バトルものってやっぱそういうとこあるよね。いいタイミングで主人公がシャキーンと登場するとか笑。実際にそんなシーンを照れもなく書けるのはUDA☆MAPの面白さのひとつです。

それでちょっとだけ三国志キャラ出たら面白いなと思い、椎名(wキャスト渡辺)が演じたお付きの超委(ちょうい)という役が実は実在した医師・華陀(かだ)という設定にしました。世界で初めて全身麻酔をしたらしいと文献に残っているようです。僕は結構マユツバな話だなと思ってますが。本当は男性でビジュアル的にはよく老人で登場しますが、そこは歴史を想像する面白さということで女性にしました。実は最初は、藤堂演じた舵違羅(だいら・ふりがな全部ふるのめんどくさいな)が、呉の国の有名な軍師・周瑜だったというオチを最初に思いついたのですが、ネームがデカすぎて架空の世界がぼやけちゃうなと思ってやめました。周瑜は確か矢の傷が原因で死ぬのですが、平井杏奈さん演じる義呂李(ぎろり)の矢だったというオチ。一応ラストバトルで刺さってるんですよね。

ソードアクションは大変でしたね。殺陣は藤堂と馬罵琉(バーバル)を演じた山本太陽君。特に長もの(槍と矛)の二人、神刄(じんば)の石井陽菜さんと、儒勢(じゅせ)の舞川みやこさんは苦労してましたね。舞川は努力の人ですよ。ほぼ初めての状態からひたすら稽古してた印象。佇まいもかっこいいし、儒勢は今作のMVPでしょうな。

ひたすら読み仮名ふってるから名前の話。この手の架空の名前はだいたい音の響きから決めます。「じんば」ってリーダーっぽいとか。翔孫(とんそん)と孫豚(そんとん)が姉妹とか(これ稽古場で自分でパニクった)。そこに漢字を当てていきます。今回のお気に入りの名前はなんだろ、儒勢もいいし、あと麓巾(ろっきん)かな。骨都(こっつ)も好き。骨の都ってなんやねん。

グズグズコメディの部分ですが、けっこう感想で「今回はあまりグズグズじゃなかった」と言われました。あんまりそんなつもりなかったんですけどね。UDA☆MAP通常営業のつもりだったんですけどね。昨年の「沼田☆フォーエバー」がクズグズマックスだったからかなあ。でもね、毎年グズグズしてるようで、私的にはグズグズは最後の産物というか、ちゃんと感動だったっり、興奮だったり、物語のど真ん中を描こうとは思ってます。アクションや仲間を想うみたいなところで結構骨太だったのかなあ。

宇田川さん、栞菜さん、市原君が演じたズッコケ探検隊。これ結構大事で、脚本的には難しかったですね。よくあるストーリーテラー的な立ち位置なので都合よく使えるんですけど、だから都合よく使っちゃいけないなと。そこで生まれたのがチョメチョメシステムです。巻物が読めなくなるという荒技。でもそういう風にしないと絶対この3人、そしてこの物語は面白くならないなと思って、歯を食いしばって書きました笑。チョメチョメの語源が山城新伍さんだったというのは忘れてた。

あとタイトル。宇田川さんと行ったお好み焼き屋のおばちゃんのヘラ捌きが凄くて「このヘラなんていうんですか?」って聞いたら「スクレイパーよ」こんな理由です笑。そこから伝説の武器が「ちっさ!」となり、最後落雷の避雷針になるという飛躍。神風にしなかったのは、若林さん演じる洲久姫(すーくひめ)が、最初紙風船で遊んでるイメージから。紙風船出てこなかった!

今年も暑かったですね。UDA☆MAP。7月にしてもお盆明けにしても、暑くなる宿命なのでしょう。本番中に涼しい日があると「あれ?」って思っちゃう。でもついに宇田川Pは来年の公演を9月の終わりに設定しましたよ。これで鬼残暑来たら笑うな。来年は10周年。すでに発表されている通り来年は「新宿☆アタッカーズ」のシーズン3です。グズグズのミステリー時代劇ですな。お楽しみに。

振り返りはあと2公演3作品。大晦日に持ち越しだなこれ。
次回は、
「オトナインデッドリースクール」「オヤジインデッドリースクール」です。