今年一年を振り返っています。
今回は短編公演をふたつ。
5月
高橋明日香一人芝居「DOLL」
あすぴーこと高橋明日香さんのソロイベントに一人芝居を書き下ろしました。ある日あすぴーから「会って話がある」と呼び出された時はそわそわしたな笑。彼女がフリーになり、自分でイベントを企画しようと立ち上げた第一弾だったようです。普通のトーク主体のイベントではなく、芝居を入れたクオリティの高いものにしたいと熱く語る彼女はアツかったです。ということで長年ご一緒してきたあすぴーへのプレゼントのつもりで書きました。超ハイテンポで一人8役という芝居を。
タイトル「DOLL」の通り、彼女は人形で、骨董品屋で売れ残っている。そこにその人形を買おうと様々な客がやってきて…。という物語。けっこうゲスいキャラで笑、可愛いだけじゃない感にしたのは彼女との長い付き合い由縁かな。店に来る客も全て一人で演じることになリます。列挙してみるか。
ドール(主人公)、老父、老婆、オタク男、少女、母、女子高生A、女子高生B
ちなみに女子高生のひとりは青柳伽奈のモノマネだったらしい。一応私らしい伏線のギミックを効かせて、コメディタッチに仕上げました。彼女が企画打ち合わせの時に「お客様の喜ぶ顔」「幸せな物語」「成長、新たな出発」というキーワードが出たので、それを反映した物語になったかなと思います。
稽古は10日前くらいから5回くらいだったかな。普通の稽古だと何か課題を出して「考えといて」と別のシーンをやるとか、待ち時間にキャスト同士で台詞合わせをするとかってありますが、ひたすら二人なので割と見守っていた印象かな。稽古場は当然ふたり(私とあすぴー)だけしかおらず、気まずかった思い出笑。
8月
字幕フォーラム&ショーケース
「アマゾンさん」「ふたりカオス〜惑星エリス〜」
これはどんな公演かと言うと、演劇に字幕をつけるシステムを実際に上演した芝居を見てもらいながら、作り手、利用者に体感してもらおうというショーケース公演でした。字幕はタブレットに出てくるので、観客はタブレットを持ちながら目の前の舞台を鑑賞することになります。代表の南部さんも、耳の不自由な方だけじゃなく、幅広く利用者を増やしていきたい、とおっしゃってましたが、まさにそういう需要ありそうだなと思いました。テレビのバラエティなんて字幕つきながら見ているようなものでしょ?あのテロップね。そういった「視聴補助」が今後すごく大事になってくるようにも思うのです。ご高齢の方に見やすくなるとかね。演劇の字幕にはそんな可能性があるなと思いました。
字幕にも色々種類がありました。
・演出字幕…演者の芝居に合わせて大きく出たり、アニメーションのように動いたり(どどーんと出るとか、弱々しくフェードアウトとか)まさにバラエティ番組のテロップのような字幕。
これは面白かったですね。観客の感想でもこれは評判が良かったです。視聴補助にもなるし、生の芝居と字幕の掛け合わせを楽しむ新しい観劇スタイルといってもいいかもしれないです。
・多言語字幕…日本語、英語、かんたん字幕、という三種類がありました。かんたん字幕というのは、お子さんや、日本語が少し分かる外国人向けの字幕で、ひらがなが多かったり、ルビがふってある字幕です。なるほどこういう需要もあるのかと勉強になりました。三種類を手元で選択します。確か上演前に選択して上演中は切り替え不可だったと思います。これが上演中に切り替えられるようになるとさらに楽しいでしょうね。英語と日本語をスイッチしながら見るとか。
今後の課題的な話をすると、
・タブレットずっと持ってるの重い。その会場には椅子に折りたたみテーブルがついてる場所でしたが、普通劇場にはついてないからなあ。
・字幕(タブレット)と舞台の見方。これ説明しずらいんですけど、タブレットの置き位置と言いますか。あ!そうそう、老眼を強く感じてしまったんだったわし。手前のタブレットの字幕から遠くの演者を見たらピントが合わないという笑。そういうふたつを同時に見る最適な位置ってなんだろう。でも字幕を舞台下や横に投影する形よりは、このタブレット形式の方が良いと思いますし、そういう声も多かったです。
・光もれ問題。劇場では電源から切って頂いている機器が客席にずらり並ぶわけですからね。まあ「タブレット公演」みたいに、切り分けるのが現実的でしょうな。最初からそこそこ客席も明るめが良いかもね。寄席みたいな。暗めのもの凄く照明タイトな作品は厳しいかもなあ。やりようはあるとは思いますがね。
・役者の台詞が聞き取りずらいのに字幕補助は素晴らしい力を発揮しますが、役者の滑舌やミスなどが全て晒されます笑。
といった字幕ショーケースに、椎名、藤堂、樋口、そして中舘早紀さんにご参加頂いて10分×2演目を上演しました。
「アマゾンさん」脚本は細川博司さん。ワークショップ用に書き下ろして頂いた作品があまりに面白くて「使わせてください!」とお願いしました。宅配便を届けに来た業者(アマゾンさんと呼ばれる)とその受け取りを拒否する玄関前の攻防を描いたコメディ。
「ふたりカオス〜惑星エリス〜」以前上演した二人芝居からの抜粋。藤堂と樋口が数年前に演じた役と同じ役を演じました。役者さんはやっぱりある程度残ってるものですね。久々に稽古しても当時の雰囲気は残ってた。
今後もこういったショーケース公演や、実際に字幕運用した公演を企画していきたいとのこと。その時はぜひ協力したいですね。私が関わる公演でも今後考えていきたいと思います。良い経験になりました。
あと会場が江戸東京博物館で、ちょうど脚本を書き始めようとしていた「なまくら刀と瓦版屋の娘」の良い取材となりました。
次回は8月UDA☆MAP「紙風☆スクレイパー」です。おお、1日2本ペースでいかないと終わらないぞ。