今年一年振り返り③「CUBE〜6C春の大感謝祭&新劇団員お披露目公演〜」A公演

M1のさや香のファーストラウンドの漫才、何回見直してもホンが完璧だな〜。リアリティと飛躍とマッチアップの切れ味よ。

今年一年を振り返っています。

5月19日〜29日
劇団6番シード第73回公演
「CUBE〜6C春の大感謝祭&新劇団員お披露目公演〜」
池袋シアターKASSAI

昨年から短編集をやりたいなと思っていて、きっとコロナももう落ち着いてるだろうと思い、お祭りみたいな公演にしたいなと思い、そして新劇団員が入ったのでそのお披露目も入れて、賑やかにやろうと思った公演です。コロナは全然落ち着いてなくて、昔シアターKASSAIで客席で流しそうめんしたような、本当はもっともっとお祭りにしたかったんですけどね、でも全7作品一気公演をやったり、賑やかな公演にはなったんじゃないかな。

新劇団員は俳優のオオダイラ隆生、高宗歩未、そして演出助手の増野美由紀です。実に10年ぶりくらいの新劇団員加入で、かなり明るくなりました笑。劇団というか、私の信条というか、劇団公演の主演は劇団員が担うべきと思ってずっと劇団活動を続けてきました。その思いもあって、オオダイラと高宗には短編ですが主演を張ってもらい、お披露目公演としました。

作品ごとに振り返ります。

A公演

「アンダーライン〜図書館司書探偵の事件簿〜」


藤堂瞬主演。過去作の「未来切符」の中で誕生した図書館司書探偵が古本に引かれたアンダーラインの謎に迫るというヒューマンミステリー。図書館司書の素人探偵って面白そうでしょ?(劇団ショップでDVD発売中!)
その第2作を2020年に無期限延期となった「6バンjackNG」という4団体合同公演で上演する予定だった今作をついに上演することとなった訳ですややこしい。
つまり脚本は2年前に書き上げていて、稽古もかなり進んでいて、次回通し稽古だ、みたいな日に公演の中止(延期)が決まったのでした。
その時に出演予定だったキャストは、藤堂、栞菜、浮谷、名倉、の皆さんで、それぞれがこの作品に残していた想いなどを持って稽古に臨んでくれました。
なのでとっても順調だったチームだと思います(7作品なので修羅場のようなチームもあった)。藤堂はシュリクラに続いての探偵役。ちょっとニヒルな感じは彼によく合う。栞菜さん演じる保育士は2020年段階で栞菜の新しい雰囲気が見れるかなと思って書いた役。6C初参戦だったようですね。

主人公の恋人、流瀬役の沢田美佳さん。僕この役好きなんだよなあ。ワトソンというか、こっちがホームズというか。そして園長役の夢麻呂さんには「夢麻呂史上最薄の芝居をしてください」とお願いしました笑。
お気に入りのシーンは浮谷演じる昔の図書館司書仲間と主人公のバッティングセンターのシーン。昔「Life is Numbers」でバッティングセンターのシーンをやってみて、めちゃくちゃいいなって思ったので今回も登場させました。そういえばその時も藤堂がバット振ってたな。

演劇表現とバッティングセンターは合う。覚えておきましょう笑。

「女流作家達の備忘録」

新作書き下ろし。宇田川美樹主演。宇田川美樹×椎名亜音×栞菜×七海とろろの4女優の共演を楽しみたいなと思ってこのタイトルを思いつく。そこに最年少の渡邉結衣をハブ役で入れて、小気味よいお洒落な恋愛短編が出来ました。
4人の女流作家をそれぞれ異なるタイプにして、宇田川演じる南條が純文学の芥川賞作家、椎名の北川が少女漫画の原作者、七海の東山がミステリー作家の卵、そして栞菜の南実がラノベ作家。そうそう、名前に東西南北を入れたんですけど、稽古初日に冒頭のシーンの絵を作ったら、本当に東西南北の配置になっていたというミラクルもありました。
その4人の作家が偶然にも「萌音」という登場人物を作り、自分の過去や現在を投影する小説(備忘録)を書いていくという展開。劇中劇と現在、自分達と萌音が入れ替わり交差しながら進む構成。一番演じるのが大変なのは萌音を演じた渡邉さんのはずなのだが、彼女は本当に大器というか涼しい顔して4役を演じ分けてましたね。

これまで書いた作品で一番「恋愛」が強い物語となりました。なんでしょうね、年をとって恥ずかしくなくなってきたのかな?今は恋愛もののセリフを書くのが楽しい。でも映画やドラマって恋愛もので溢れてますが、演劇で恋愛ものってあんま見なくないですか?どうかな?
どの組みも好きなのだが、栞菜×オオダイラのとこいいな。姉の夫を好きになるという超重設定のくせに、なんか軽やかで、ラストもこの二人だけは絶対うまくいかないって分かってるのに、サラリと爽やかに終われたし。ずっとこの先もあの感じなのかなとかね。案外あっさり忘れたりするような気もするね。
七海×石田太一の作家編集者コンビも良かったな。太一くんああいう役やるといい仕事するよね、って感じのハマり方だったな。

あと全体的に男が天然ボケ要素が強いことになったと後で気づきました。羽根川くん演じた天助はその最たるもので、稽古しながら「こいつムカつくわ〜」ってよく言ってました笑。

「天気と戦う女」

高宗歩未主演。過去5回(!)椎名亜音が演じてきたスーパー雨女雲間ひかるを新劇団員の高宗が演じました。短編集、お披露目公演、ならでは。僕も椎名?もこの演目がどれほど大変かもう麻痺しちゃってるようなところがあったけど、やっぱすげえやこれ。舞台を縦横無尽に走り回る新劇団員を見て、頼もしくなりました。
高宗は五角形が非常にバランスの良い役者さんだと思っていて、だからこそ劇団員になって、どこか一点でも突き抜ける女優さんになって欲しいなと思い、この役を託しました。
そしてライバルの豪徳寺乱子を椎名亜音が演じたのですが、これはすごかった!ため息が出るくらい面白かったな。ガスマスクを手を使わずにかぶり直すとかもう。漫画のキャラを漫画のまま実写化したような、実写が漫画の上行ってるというか、そもそもこの作品漫画原作じゃないんだけどね笑。

今回の美術はまさにキューブの集合体なのですが、そのブロックを余すことなく使いました。堤防決壊とか。そして6度目にして新しい演出が!ジェットコースターです。まさに遊びまくった演出でした。

さて、長くなったので2回に分けよう。

次回は「CUBE」B公演です。

トムコラム