2024年振り返り⑤「one〜やがてひとつになる物語〜」

さて、越年して昨年を振り返っております。

松本プロデュースVol.4

「one〜やがてひとつになる物語〜」

10月18日〜20日

下北沢亭

私がやりたい人とやりたい企画をやる松本プロデュース。今年はなんと3月の「FOUR.」に続いて2本目となりました。年一くらいの予定だったのですが、一人芝居を繋いでいってひとつの物語を作る、しかもリーガル(裁判)ものというアイデアが雷のように落ちたのでこれはもうやってやろうと、久々に少年のような気持ちで企画書を書きました。そして私が一人芝居をやってみたいと思っていた4人を召喚。

松木わかは

藤堂瞬

高橋明日香

野口オリジナル

の4名です。あすぴーは「松プロ2度目があるんだ」と驚愕しておりました。

稽古開始が9月下旬で、夏の間は前回振り返った「密室」の演出だけだったので、少し時間のあった私は裁判の傍聴に足繁く通いました。これはとても良い経験になりました。ネタ帳という名の創作ノートは傍聴記でみるみる埋まっていきます。しかし9月になってもなかなか書き出せない!一人芝居でひとつの事件をいろんな角度から見せていく。説明すると簡単ですが、本当に難しかった。特に最初の松木さん演じる錦戸検事の一人芝居。作品のカラーを決めるのもこの作品だし、事件のあらましのラストまで見えてないと書けないし、しかも1話でいきなりラスト(真相)を描く訳にはいかないし(結局時計の針の音で真相を聞いた時間経過を表現)。ということで、第3話のあすぴー演じる裁判所書記官のパートや、第5話の藤堂演じる元ボクサーの証言など、割と独立してるところを書き進めながら、ゆっくり慎重に、1話と、藤堂演じた弁護人の第2話を書き進めながら事件の結末をイメージしていきました。今までやったことないつまみ食い食い執筆でした。5ー3−1ー2みたいな順番で上がっていきました。その後もう一つの主人公とも言える6話のあすぴー演じる新米弁護士と4話の野口くん演じる車を横流しした罪で捕まった男との交流を描き、最後に真相パートの人々を書いて無事脱稿しました。

稽古は予想していた通り、キャストさんの孤独な戦いが日々繰り広げられました。キャストさんは2役やっていたので、どのキャストもどっちが楽でこっちが難しいみたいなのがあったようです。司法の台詞は本当にむずいみたい。

「相当法条を適用の上、被告を…」とかね。

事件の中心にいる元ボクサーの被告人を日替わりゲストにするのも最初からイメージがありました。僕の作品で言うと「D・ミリガンの客」のような、劇中で語られる人物が出てこないパターンかと思ったら最後出てくる、というのが面白いと思ったのかな。丸山正吾、土田卓、高田淳という重厚三銃士でした。皆いい仕事をしてくれました。

一人芝居じゃないパターンでこの事件を見てみたい、といった感想もたくさんありました。確かにそれはそれで面白そうですね。やり方はどうであれ、リーガルものはまた書いてみたいなあ。それとは別に、リーガルものでなく、一人芝居でひとつの物語を描くやがひとパターンは今後もアリかも知れないですね。とても脚本作りが印象に残った公演でした。

昨年は「FOUR.」と「やがひと」どちらもなかなかハイクオリティな作品が作れたんじゃないかな。そして今年はすでにお伝えしているように「FOUR.」のシーズン2「FOUR.〜Flag the world 〜」を上演予定です。今年の松プロもお楽しみに!

いよいよ振り返り最終回

つい先日閉幕した

劇団6番シード「文豪が多すぎる」です。お楽しみに!

トムコラム