10月
UDA☆MAP Plus+
「No Name~私達ズルい女~」
スタジオBLANZ
宇田川美樹、高橋明日香、梅田悠の三人芝居。新作を書下ろしました。この三人で芝居をやるというのが決まった時、もういろんなことがやりたくなりましたね。コメディもやりたい、重厚な会話劇もやりたい、などなど。だから欲張ろうと思い、3つのオムニバス作品にしました。
第一話「ズルい女」
高橋明日香主演。執行猶予中のシングルマザーがなぜまた同じ罪を犯してしまったのかというまさに重厚な会話劇。これは昔、実際に裁判を傍聴した時に見た事件をモチーフにしました。パート先の同僚の財布からキャッシュカードを盗んでお金をおろし、そしてまた再犯してしまった女性、そこにどんなドラマがあったんだろうかと。
あすぴーこと高橋明日香さんにはこういうやつやってもらいたいなあと常日頃思ってたんですよね。冒頭5分くらいある台本では40行ある長台詞はそうとう苦労してましたね。ただの悪人ではないというのが難しく、同じ職場にいそうな、隣人にいそうな、平気で嘘をつく弱い人、を好演してもらいました。案外に最後はかわいそうになったといった同情的感想が多くて面白かった。あと同僚役を演じた梅田さんの超抑えた演技を評価する人が多かったな。ずっとボソボソ喋る、これまたどこにでもいそうな人物だけど難役でしたね。二人は勉強の為に裁判に傍聴に行ったそうですよ。
第二話「メイワクな女」
梅田悠主演。中国で迷惑メールを送り続ける女と、日本でそれを受け取って返信してしまう女の物語。コメディタッチですが、どんでん返しのラストは僕っぽくていいよね、気に入っています。
とにかく台詞量が多くて早い。これもまた苦戦してましたねえみんな。あ、宇田川さんは台詞ゼロの役だったので楽しんでましたけどね(笑)このイイネ君すげー評判よかったなあ、またどっかで使えないかなあ(笑)
梅田さんは一話のネガキャラから一気に関西弁の豪快陽気なネエチャンに。このギャップもこういうオムニバスの醍醐味ですよね。高いテンションのまま起承転結をつくる、とか松本高速コメディ的演出をした記憶があります。彼女はこの公演でぐんと成長したと思います。
第三話「ケサレた女」
宇田川美樹主演。これ、かなりの異色作となりました。雨の夜「No Name」という名のバーにひとりの女が現れ…という現代の寓話的スタート。そこからナイフを持った女が現れ、ひたすらループしていく中で名前を忘れてしまった主人公が自分のことを思い出していく、といったストーリーでした。
まるで細川(博司)ワールド!書きあげるまではそんなこと思ってなかったのですが、書きあがったら「これ細川さんやん!」って(笑)
1話、2話とまたまったく違うテイストで私はとても気にいってる短編のひとつとなりました。
これら3つの話を国境沿いのモーテルにいる犯罪者3人のショートエピソードでつないだという今作、脚本家として3人の女優を使ってやりたいことやりまくった公演といっても過言ではないですね(笑)
囲み客席で観客が近いライブ感のある演出も役者も観客もしびれたんじゃないかなあ。3人芝居なんてなかなかやれる機会はありませんが、またぜひこういうの、やりたいなあ。
高橋さん梅田さんとは「また3人同じ現場になるなんてことすぐにはないでしょうね」なんて言ってたら1月上演の「ゼロヨンヨンの終電車」ですぐ揃うというミラクル(笑)
なんというか、運命というか盟友というか(笑)