今年一年振り返り③「SIX-DOORS」

今年一年を振り返っています。

4月〜5月
6Cオンライン「SIX-DOORS」
リモートオンライン作品

さて(前回参照)4月に緊急事態宣言が出て、公演中止となり、途方に暮れた私。いや、暮れる暇はそんなになく、すぐ「オンラインでなんかやろう」と劇団員に呼びかけました。その頃リモート演劇が盛んに作られるようになり、その先駆けになりたい!と思ったのでした。
が…所詮アナログ劇団、とわし。企画書は確か宣言後直後に出来上がり、zoomも有料のやつをすぐ申し込み、さあ、と思ったのですが、なかなかうまくいかない。その頃出ていたリモート演劇を見て、生で観るよりどうしても面白さが落ちるよね、を実感していたのでそうならないようにと試行錯誤が始まります。
初稿は劇団員6人によるコメディ。ちょっとzoomで稽古もしましたが、まあ面白くない。コメディの生命線である、会話のテンポがまるで見えてこないのです。通信のラグってやつですね。樋口に至っては10回に9回は映像が止まり、それはそれ自体がコメディにはなっていたのですが、どうすれば面白くなくか見えません。早速暗礁に乗り上げ、ステイホームの中悶々とした日々が続きます。
そして本読みすらしていない劇団員6人のミステリーバージョンを経て、現在公開している二人芝居バージョンで企画が動き始めました。先駆けどころか、かなり後発になってしまったわけです汗。

ポイントは二つ。
・画面に二人だけだから内容が濃くなるはずだ。
・いろいろ大変そうな生配信をやめて、収録編集型にして、クオリティを上げる。

でした。後者は、舞台人としてなんとしても生にこだわりたいという最初の理念をさっさと捨てました。結果、編集が鬼大変になりましたが、編集の腕は鬼上がりました。ギラしか使えなかったやつがベギラゴン使えるくらいにまではなった気がする。いや、ベギラマくらいかな。

劇団員×ゲストという形も面白かったですね。稽古も収録も(ほぼ)全てリモートで行いました。第2話のラストと3話の冒頭のみ、ロケで撮影しました。各話実質3日くらいで稽古本番。合間にずっと続きを書き続けて、出来上がったものを編集して公開して、実質今年一番忙しかったのはこの時期かも知れない。結果全話繋げると2時間の超大作になりました。全部終わった時、当分zoomはしたくないと思いました笑。

第一話「UFOに願いを」
土屋兼久×松木わかは
ベランダと窓を挟んだリビングでの夫婦喧嘩。場所設定が面白いなと思って書きました。実は松木さんはかなり遠方のご実家からリモート。東京の土屋君とまさに遠隔の面白さでしたね。撮影場所がベランダなのでご近所迷惑にならないように、かなり短時間での撮影でした。あとマヨネーズを頭からかぶるので一発勝負感もあったな笑。UFOのCGは山岸監督にお願いしました。

第一話前半

第一話後半

第二話「青空ドロップ」
小沢和之×池澤汐音
タイトルが好評でしたね。幼い雰囲気の池澤さんと味が出てきた小沢さんがいい組み合わせで味わい深い作品になりました。池澤さんとはこれが初でしたが稽古2日目くらいだったか、スイッチが入るとぐんぐん面白くなりますね彼女。ラスト付近は我が家の近くで撮影しました。この辺りからもう演劇じゃなくて映画なんじゃないかと思い始めた。

第二話前半

第二話後半

第三話「婚活詐欺にご注意」
藤堂瞬×佐藤圭佑×古野あきほ
コメディタッチのミステリー?ちょっとジャンル不明な感じとか、松本作品っぽい感じのようでそうでもない感じとか。ちょっと面白い立ち位置の作品になりましたね。圭佑さんは画面の下に台本を忍ばせていたようですが、編集してみるとけっこうバレてた笑。主人公が実は犯人だった、しかもちょっと同情の余地があった、みたいなテイストが松本作品ぽそうでそうでなさそうな所以かも。ちょっとシニカルなんですよね読後感とかも。

第三話前半

第三話後半

第四話「誤差118秒」
宇田川美樹×平野勲人
平野さんも一緒に作品作るの初めてで(そういえばゲスト陣はほぼ初6C)宇田川さんとのコラボが楽しみでした。今度はコメディな二人でもやってみたいなあ。というわけでけっこうなシリアス劇。ホンのポイントはタイトル通り118秒の誤差がある通信で、脚本もだけど、稽古がめちゃくちゃ苦労した。松木さんや神谷さんに代役参加してもらって、宇田川さんの誤差の声を入れてもらいながら稽古しました。編集で声を全部はめ直すって形です。全6話中一番気に入ってる話ですかね。

第四話前半

第四話後半

第五話「マヨネーズの神様」
椎名亜音×平山佳延×鈴木智晴
感想に「何を見せられてるんだ笑!」というのがあり、まさしくそんなおバカな物語。実力派俳優3人が、大の大人がふざけまくるとこうなるよっていう例。いわゆる深夜のノリで書いたような脚本。実際は稽古と編集に追われ、実はけっこう難産だった話でした。この「SIX-DOORS」は全6話が最終話で繋がるみたいなイメージで、ラス前のこの話の立ち位置がずっと見えなかった笑。だからあんま気にせず楽しくやろうかって開き直って書いたのがこの有様でした笑。

第五話前半

第五話後半

第六話「或る夜の出来事」
樋口靖洋×神谷未来紘
拘置所にいる容疑者と弁護士のリモート接見という最終話。男の話の中にこれまでの各話のエピソードがちりばめられ…という流れ。ユージュアルサスペクツ感といいますか、語りだけで物語が立体になる感じ、やりたかったんですよね。バッチリ仕上げてきている神谷さんと、台詞量と電波に苦戦し続ける樋口。稽古は予定より増量して、完成に時間をかけました。収録を終えた時はなんだか清々しい気持ちでしたね。リモート画面でしたが3人で抱き合ったような感覚笑。
確か結局、ミキシングレディオの稽古が始まった頃に収録を終えたのでした。

第六話前半

第六話後半

今でも無料で公開してますので、各話のリンクからお楽しみくださいね。
DVDも販売してますよ。本編(2時間)とメイキングとあります。

6Cオンラインショップ
https://6banceed.thebase.in/

遠い先、コロナって時代があったなあって振り返るようなことがあれば、この作品と、次回のミキシングレディオを思い出すと思います。
大変でしたが、よき経験と出会いでした。

次回振り返りは、いよいよ緊急事態宣言が明けたぞ!
6月
6番シード「ミキシングレディオ2020」です。

トムコラム