2週連続の公演振り返り。
先週舞台「KAIRO」の最速振り返りをしたのですが、千秋楽翌日に別の劇場へ行き、仕込みやリハをしたのは初めての感覚でした。つか演劇人生で多分初めてです。
六番寄席。
という劇団イベントを先週末の土日で開催したのですが、これがなかなかの、なかなかじゃないな、相当だな、相当なボリュームで、イベントというよりひとつの公演、ひとつの公演というより、(毎ステージ違うものをやったので)みっつの公演を終えたような心持ち。終演後は皆、戦場から帰還した兵士みたいになってました。お疲れみんな!お疲れ俺!
うちの劇団は「楽しいこと全力でやろうぜ、いくつになっても子供みたいにはしゃごうぜ」という社訓のようなものがあるのですが、社訓はないのですが、そういう考えがみんなにあって、楽しくワイワイ企画しているうちに「こ、こりゃ大変だぞ」となり、でもダウンサイジングなんてかっちょわりいぜ、とばかりに全部盛り込んだらこんなイベントになりました。てへ。
おかげでお客様にもずいぶんと楽しんでもらえたようで何よりです。ゆるめのイベントもいいですし、そういうのを楽しむ方もいらっしゃいますから、どっちが一概に良いとは思いませんが、楽しいことに全力である劇団という矜持は大事だなと思いました。こういうイベントもあり、ゆるめもあり、みたいなことがいいんだろうな。毎回だと肩こるし、僕らには本公演というガチンコがあるからね。
元々は「わし、落語やりたいんだよね」という一言からだったらしいです。で、やりました落語。古典落語「粗忽長屋」にチャレンジしたのですが、奥が深いですねえ。感想を聞くと喜んでもらえたようで一安心。山岸監督から「談志師匠の完コピだ」とお褒めのツイートをいただきましが、まさに談志師匠が好きで、いろんな粗忽長屋を聞いたのですが、やはり談志さんで行こうと。実際耳で聞きながら喋ってみたら、クソ早いのね。おそるべき早さ!それをコピろうと早口でやった部分が「聞き取れなくて笑えなかった」という感想を聞いて、やっぱ一朝一夕に出来る芸じゃないなとしみじみ。あと「すごい緊張が伝わって」という恥ずかしい感想を複数の方から頂いたのですごい緊張してたんでしょうね。あんまり自覚ないんですけどね。でも小劇場落語会のようなものはやりたいな。今回参加できなかった石部さんの落語も見てみたいなあ。
初日は演芸の回ということで、椎名と浮谷くんが漫才をやりました。漫才ってとにかくハードルが高い。イベントだからグズグズでも許してね、みたいなことは両人も思ってなかっただろうし、素晴らしいクオリティだったと思います。イベントの他の演目も、例えば小沢さんの弾き語りとか、拙いけど想いが伝わる内容だったと思います。これ大事だよね。
椎名浮谷の漫才。藤堂宮島の殺陣コント(これわし大好き。中身どうでもよくなるあのバカさ)。土屋藤堂図師のロングコントなど、シナリオは全て演者である彼らが考えました。殺陣コントは藤堂が、ロングコントは土屋がシナリオ考えたそうです。日曜昼回の歌ライブといい、贔屓目なしにみんな多才だよね。と戦場のようなリハを見ながら尊敬しましたわ。椎名の縦笛の狂い弾きが僕は好きでして、今回も入れてほしいとリクエストしました。
そして樋口脚本の短編舞台「或る家族の物語」を上演しました。樋口の自伝的な話らしいですが、30分で見せていく流れや、僕が気に入ってるのは鳩時計の死かな、そういった樋口センスが随所に光る本でした。前説で言いましたが「誰でも一作は傑作を書くことが出来る。人生という名の作品を(詠み人知らず)」と言いますが、これはそういう一発ものじゃないなと最初に読んで思いました。もしその気があるならまた書いてみればいいと思う。
本当なら樋口に(演じた劇団員にも)じっくり時間をあげて仕上げられたらよかったのですが、書いてるようにとにかく戦場のようなリハ、演目数だったので、稽古は実質2日、十時間程度でした。それもあって私は演出助手としてでしゃばりまくり仕切りまくりで、短い時間で作品を仕上げるノウハウを駆使しまくりました。元々樋口とも演出は共同でみたいな話をしてて、やってみると樋口が予想以上に凛としてたので、出来るだけ物語根幹に関わる演出はやってもらおうと。ということで演出助手って実は初めてやったかも。裏側で黙々とやる職人感が好き。役者さんの芝居の生理を見ながら場面転換のキューを決めていくみたいなね。時計の音がチチチチチと鳴る場面転換が印象的だったと思いますが、いつ入れて、いつ消すか、を細かく何度も返す時間がないので、「図師くんと宮島さんが目を合わせて図師くんがふっとそらしたら時計イン」などと台本にメモっていきました。こういうの楽しいんだよなあ。俺の仕事渋いぜ、みたいなね笑。
結局演出助手の思い出みたいになっちゃいましたが、私的一番はやっぱ落語ですね。和服も「絶対買ったほうがいい」と藤堂に言われて上から下までまとめ買い。藤堂に着付けてもらって舞台に上がりました。あれ背筋伸びますね。創作落語(というほどのものでもないけど)「ドーハの喜劇」は楽しく喋ることが出来ました。
こういうガッツリ系?のイベント。ちょうちょいは難しいですが、年一、も難しいカモですが、ちょいちょいやって行きたいなと思った寄席でございました。次回を気長にお待ちください。