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エリザベス・マリー×松本陽一(1)
ダンスのセンスは父親ゆずり!?
- リズ
- なかなか、1対1で1時間半も喋る機会ってないですよね。
- 松本
- うん、どの人とも改めて喋る機会にしたくって。図師君の時 に言ったんですけど、キャストと演出家として一緒の現場にいると、ちょっとした主従関係があるのが普通ですし、芝居の話しか出ない可能性もあるから、こういう日を改めた対談は面白いんです。
- リズ
- 確かにそうですよね。感覚がちょっと違う感じはあります。
- 松本
- この間まで『TRUSH!』 でずっと一緒にやってたから、一息ついたこのタイミングが良いかなと。
「TRUSH!」アクト動画その①オープニングアクト
- リズ
- 丁度いいですね。改めて、振り返ってみて、あぁこうだったなあ…みたいな。
- 松本
- 直後だったら、
- リズ
- 熱量だけで進んじゃう感じの対談になりかねないですよね。
- 松本
- じゃあ、歴史から行きますか?
- リズ
- 歴史というか、お互いの馴れ初めですかね。
- 松本
- リズさん と初めて一緒にやったのが『デッドリースクール』 でしたよね。
- リズ
- そうですね。初めてご一緒したのが『デッドリー』でした。
- 松本
- あれは何歳の時?
- リズ
- 多分25歳くらいだったと思います。
- 松本
- リズさんのキャリアって子役からなんですよね?
- リズ
- ちっちゃい頃、10歳くらいから一応モデルみたいなことをやっていて、舞台やミュージカルは12歳からやってました。
- 松本
- 12歳からかぁ……。『アニー』とか出てるんだよね?
- リズ
- そうですね、一番大きい作品だと『アニー』。他にも『葉っぱのフレディ』、『アルゴ』、『ココスマイル』っていう子役界の登竜門みたいな作品があって、そういった作品に割と出てました。 ちょっと嫌なんですけど、子役の中では名前は知れてる方でしたね。
- 松本
- 子役舞台業界で?
- リズ
- そうですね、子役ミュージカル業界で。
- 松本
- そこに入ったいきさつはなんですか?
- リズ
- もともと母親が舞台をすごく好きで、小さい頃からよく観に行ってたんですよ。『ピーターパン』とか、劇団四季の『ライオンキング』みたいな子供向けの作品を観ていたので、脳裏にはあった。ただ、舞台役者になりたいという目標は全くなかったです。そのあとに『モーニング娘。』が凄く流行って、ダンスを始めたんですよ。
- 松本
- お、あすぴー と一緒だ。
- リズ
- あすぴーの対談、読みましたよ。
- 松本
- あすぴーも、同年代くらいでしょ?
- リズ
- 同年代で、あすぴーがひとつ上です。だから同じ歳くらいの女優さんでモー娘。にハマってダンスを始めた人って、たぶん多いと思うんですよ。
- 松本
- ダンスキャリアのスタートはモー娘。なんですね。
- リズ
- ダンスのコピーをするのがスタートで、コピーしてたら結構上手にできたんですよ。それはセンス的なものかも知れないんです。良く父親が家で踊ってるんですよ。
- 松本
- あの陽気なお父さんが?
- リズ
- そう、舞台千秋楽のカーテンコールで指笛を鳴らしに来るお父さん(笑)。
- 松本
- 客席で指笛が鳴ったら来てるな、というあの人ね。
- リズ
- 最近私に知らせずに当日券で来るって技を覚えたみたいで、笛が鳴って初めて「ああ、来てるわ」って気付くこともある(笑)。
- 松本
- ちょっと話が逸れますけど、リズのお父さんの笛はちょっとした効果があるんですよ。最近、お客さんがダブルコールとかスタンディングオベーションをするようになってきたじゃないですか。
日本人ってそういうの苦手で、昔は拍手すら恥ずかしいって感覚があったと思うんです。でも、お父さんが笛を鳴らし始めたせいなのか、お父さんがいないときにも笛を鳴らす人が現れ始めたんです。海外だとお客さんが「ブラボー!」って言ったりしますよね。
- リズ
- ええ、ありますね。
- 松本
- それと同じで、「笛鳴らして良いんだ」と学んだお客さんがいるみたいなんだよね。気持ちが盛り上がったら、それを表現するのもありなんだと。
- リズ
- 良いですね。小劇場界にどんどん観客さんが切り込んで行ってるみたいな(笑)。
朝礼台でモー娘。を踊る
- 松本
- 話を戻して、モー娘。だっけ?
- リズ
- モー娘。のコピーをして、結構上手に出来て「ダンスって楽しいな」って思い始めたんです。
- 松本
- 家でテレビ見ながらコピーして楽しんでいたんですか?
- リズ
- それもなんですけど、学校でもモー娘。が流行っていたので学校のみんなでダンスを勝手にやるみたいな流れがあったんです。ちょっとした発表会をやったり、部活動でもダンスクラブがあって、そこに仲の良い女の子と一緒に入ったりしたんです。みんなモー娘。やモー娘。の系列のグループさんのダンスをやってました。
- 松本
- 『LOVEマシーン』とか?
- リズ
- 『LOVEマシーン』はドンピシャでしたね。小学校6年生の時は、1人で朝礼台の上で私は踊ってましたね。
- 松本
- 『LOVEマシーン』の変な振りを?
- リズ
- そう(笑)、「Wow Wow Wow Wow」ってやってて、それをみんなに教えてあげるってのが楽しくて。
- 松本
- もう振付師のキャリアが始まってたんだ?
- リズ
- その時から振付師でしたね。自分の家で覚えたり、友達の家に行ってビデオテープが擦り切れるほど繰り返し見たりしてたんです。あの頃は、『Mステ』とか『うたばん』とか歌番組がいっぱいあったので、色々な番組のモー娘。の部分だけ録画してました。番組によって振りが違ったりするんです。それを見比べてベーシックなやつを探したり、ミュージックビデオには映ってないところを他のテレビ番組から探して来たりして、1曲全部完成させる。
- 松本
- そうか、ミュージックビデオだとカメラで抜いてるから、映っていないサイドの振りが判らないのか。
- リズ
- そうなんですよ。歌ってる人の顔だけ抜いてて、でも周りは踊ってるじゃないですか。その部分が分からないから、いろんな歌番組を見て、パズルみたいに繋げていってました。その頃は1曲のダンスを作るのにすっごく時間も掛かってたし、自分で創作するっていう能力はあまりなかったから、とにかく完コピしてました。
- 松本
- 好きこそものの上手なれ、ってやつだね。
- リズ
- そうだったのかも知れないですね。とにかくもの凄くモー娘。が好きで、ハロプロのオーディションに書類を出しこともありました。速攻落ちましたけど。
- 松本
- あすぴーもハロプロの選考に落ちてたよね。
- リズ
- あの頃みんな出してましたよ。親も「出してみれば?」って言ってたと思うので。
内気とラテンが同居
- 松本
- それからミュージカルに?
- リズ
- そうですね。そこから自分はダンスが上手なんだって思えたのと、初めて通ったダンススクール、家から電車で二駅だったんですけど、そこの発表会で1列目になったことが大きかったですね。だいたい、4~5年通っている女の子たちが1列目や真ん中の目立つ部分にいるんですけど、入って2~3ヶ月の私がいきなり抜擢されたんですよ。
- 松本
- 高校野球で1年生なのにレギュラー、みたいなことですか?
- リズ
- そんな感じです。急にバッ!て出て来ちゃったんですよね。先生が私に可能性を見出してくれたんだと思うんですよ。それで余計に頑張るようになったんです。
- 松本
- 先輩から妬まれたりしなかったですか?
- リズ
- 妬む人もいたし、「すごいね!」って言ってくれる子もいた。両パターンいました。センターとか取ってる子たちは妬むんですよ。自分は3~4年やって苦労してきたのに…
- 松本
- 若造が来たぞ、と?
- リズ
- そうそう。「急にポッと出の奴が来た」みたいな感じで妬まれたりはしてました。
- 松本
- リズさんって、基本負けず嫌いなところありますよね?
- リズ
- ありますね。でも、小さい頃はすっごい人見知りでした。
- 松本
- ほぉ~。
- リズ
- もの凄く人見知りで、幼稚園に行く時に熊のぬいぐるみがいないと行けないって感じのタイプだった。
- 松本
- リズさんは内気な部分とラテンの部分が同居してる人でもあるな、と思うんですよね。
- リズ
- ああ~、凄く合ってます。でも、ダンスを始めた頃は内気な方が多かった。そこから、徐々にラテンの部分を表に出せたきっかけもダンスだったんです。自分の性格も含めて、本当に転機なのかな。
- 松本
- じゃあもう、運命的な出会いをしたダンスに関しては……、
- リズ
- 恥ずかしいんですけど、ちょっと「天性の才能だな」と思ったんです。
- 松本
- そうでしょ?自分で「私、才能あるわ」って思うよね。
- リズ
- やだ~!(笑)
- 松本
- そう思えることって、なかなか無いですよね。
- リズ
- 自分で言うのは恥ずかしいけど、なかなか無いですね(笑)。それ以降、ダンス以上に好きなものがなかったのも理由のひとつですけども。