今年一年を振り返っています。
6月
UDA☆MAP vol.10
「ガールズトークアパートメント2020」
シアターKASSAI
UDA☆MAPの旗揚げ作品のシリーズ作。祖師ヶ谷大蔵にある古い一軒家のシェアハウス「やえがしのいえ」で暮らす女子達を描いた青春?グズグズコメディです。初演が2010年、5年後に2010年バージョン再演と2015年バージョン新作、そして今回の2020年バージョン。毎回暮らしてる人達が変わり春夏秋冬いろんなことが起こります。元々特に2010とか2015に強い意味はなくて、5年に一度って面白いねくらいのノリで、現代劇ですがそこまで時事ネタを扱う訳でもなかったのです。ところが今上演するとなると2020か2021がつく訳で。そうなるとコロナが日常にある状態の脚本になるのです。これは最初に宇田川Pと悩みました。コロナがない体の世界観にする手も普通にあったし。結局上演は2021年ですが、みんなが経験した2020年(つまり一年前)を描くことにしました。
コロナ関連の出来事を面白おかしく描けたかなと思ってます。でも今観返してみるとコロナ関連を入れすぎでちょっと説教臭く感じるなあと脚本家反省。日常会話の中にコロナがらみが多すぎる笑
この物語はシリーズ通して、春夏秋冬の4話のオムニバスと、その間の長い長ーい場面転換が恒例でした。今作もその通りなのですが、今回はこのシェアハウスの管理人(家主)のやえがしさん(宇田川美樹)が失踪しているところから物語が始まるという新しい形。代わりに栞菜さん演じる姪の八重樫柚子(ゆず)が新管理になるところから物語が始まります。
春は岡田花梨さん演じるマスク女子の話。夏は稲葉麻由子さん演じる看護師のオフのひとこま。秋は大盛り上がりの恋バナでした笑。葉月智子さん演じる理系大学生が大学教授(恥ずかしながら私が映像出演させて頂きました)に恋をする話。冬はずっとリモート(映像)で出ていた持田千妃来さん演じるビジネス留学生が帰国してやえがしさん(失踪していた宇田川美樹のほう)と喧嘩する話。
ガールズトークアパートメントってあらすじが書きづらいんですよね。ガールズトークって言うくらいだから日常会話の延長に物語がある感じだしね。
夏のあらすじ
100日ぶりに休暇が取れた看護師の麦子。大好きなドーナツとビールを同居人達に取られブチ切れ。そこに職場から電話がかかってきて…。
なんてつまらなそうなあらすじなんだ!!笑笑
でもこの夏の話が一番好きなんですよねえ。特になんもないところから物語が始まって、特にめちゃくちゃ大きなことも起きないけどちょっとだけ主人公すっきりした、みたいな塩梅。主人公麦子を演じた稲葉さんも雰囲気ぴったりでしたね。あのテロンとしたトレーナー上下とかね。あのなんとも言えない脇役と主役の間の演技と言いますか、稲葉さんにしか出来ない主人公像が描けたかなと思ってます。
あと医療従事者あるある?とか「感謝だけして終わるなー!」って台詞が実際の看護師の方から面白かったって言ってもらえて嬉しかった。
秋は松本稽古無双でした笑。鶴田葵さん演じる蛇目(じゃのめ)さんの不倫の噂と、葉月智子さん演じる納豆女子と呼ばれてる理系女子の恋の告白。松本稽古さんが演じたトッコさんは秋の冒頭で合コンをドタキャンされて用済みなはずが笑、何故から最後まで主人公感があると言う笑。
この話は稽古してて楽しかったですね。恋の話は実はガールズトークとタイトルにつけておきながら初かも(2015でゲイカップルの結婚てのがありましたが)。その恋バナに松本コメディのかけ違い系?のテンポが重なって面白い話になりました。
松本、高宗、渡邉の恋バナトリオはなんかキャラクター化したいくらい笑。
春夏秋冬全話に登場する女子高生陽瑠を演じたのは、実際も高校1年生(だったと思う)の渡邉結衣さん。彼女はね、すごくよかったです。15であの貫禄、度胸、視野の広さ、脇でもいい仕事できる15歳なんて見たことない。天才だと思います。宇田川も彼女が中学生の時の芝居を見てこの子はすげーって思ったらしい。今後がめちゃくちゃ楽しみです^_^
冬は喧嘩して仲直りするだけの話なんですが、喧嘩して仲直りするのが世の中のドラマで一番難しいんじゃないかと思いました笑。しようもない喧嘩ってそうだよね。解決もしょうもないか、気づいたら時間が解決してたとか、とにかくしょうもない笑。このしょうもなさをしょうもないまま面白く観せるのがガールズトークの面白いとこであり、難しいところです。宇田川美樹はこの話しか出ないのですが、やはり出てくると空気を変える女優だなと思いました。
全話登場の胡桃役、今川宇宙さんも良かったな〜。いわゆる回し、ツッコミポジなんだけど、ガールズトークのこのポジって、そこに留まらないボケ要素なんかも混ざって面白くなるんだよね。そして冷蔵庫の張り紙など作品を彩ってくれたイラストの数々はイラストレーターである彼女の作です。
舞台美術は若い美術家の西山美咲さんが担当。みんな思ったと思うけど、あの家、
住みたいよね。
美術出来上がった時感動しました。これならみんなシェアハウスするよって。
そんな感じでこのシリーズはまた5年後なのかな?2025年はどんな年なんでしょうね。
次回振り返りは
10月
「ペーパーカンパニーゴーストカンパニー」です。