佐藤修幸×松本陽一

intro

 

佐藤修幸×松本陽一(1)

※2019年3月1日、都内某所にて

稽古場サプライズ

(翌日が佐藤さんの誕生日だったため、サプライズでスタッフがケーキを用意していました)
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松本
現場でサプライズってやります?
佐藤
やりますよ。ただ、昔ね…。サプライズやる時に、切れる系のサプライズってあるじゃないですか。
松本
切れる系サプライズって何です?
佐藤
演出が怒ったり…
松本
あー(理解)
佐藤
…何か「お前の芝居なってないんだよ」「お前外で頭冷やしてこい」とか言って、外に行くとケーキがある。それを昔やって、本当に泣きそうになったんで、これはもう絶対やらないと決めてます。
松本
のぶさんがやられたの?
佐藤
いや、僕は知ってた側です。宮城(陽亮/DMFと石部(雄一)さんの誕生日が一緒なんです。彼らの誕生日が場当たりの日で、ある役者がブチ切れるっていうサプライズを…。
松本
場当たりで!?
佐藤
仕掛け役の人が「こんなウザい現場やってられっかよー!」って言って。宮城も「どうしよう」ってなってるし、石部さんも困惑していて。さらに、その仕掛け役が熱くなっちゃって「ふざけんなよー!」って、セットをガーンと殴っちゃったんですよ。その時、石部さんがすっごくちっちゃい声で「セットはやめようよ…」って。その後に、ケーキが出てきたんですけど、女性キャストで泣いちゃった子も居たんですよ。
松本
もうシャレにならない。
佐藤
全然ならない。
松本
全体のテンションが…
佐藤
もう下がり切っちゃって、全然楽しくない、って思ってもう二度とやらないです。
松本
熱演しすぎちゃったんだ。
佐藤
だからENGだと、既にケーキの箱が置いてあって、何とかのシーンが終わったら開けてくださいって書いてある方式です。
松本
流行り、っていうことじゃないけど、最近サプライズ多いですよね。多分SNSで画がいいからだと思うけど。座組みの人数が多いと、1現場で5、6人誕生日が来るでしょ。
佐藤
そうなんですよ。
松本
もうやらなくて良くない?みたいになる。
佐藤
そうですね、30人いたら3人くらいいてもおかしくないですからね、確率的に。
松本
そうでしょ。去年の『傭兵ども!砂漠を走れ!』(2018年9月)の時に6、7人いたんですよね。
佐藤
え、それは多い。だから演出助手に必ず役者の誕生日を調べておいて、って言います。
松本
僕はしばらく嫌いだったんですよ。ちょっとストイックな…
佐藤
あれ!?これ、(対談が)始まってます?
松本
始まってます、いつもこんなフワッとした感じで。
佐藤
そうなんですね。
松本
僕は30代前半くらいかな。演出家として、のぶさんの言い方を借りるとイキってた頃に、「そんな甘っちょろいサプライズパーティーなんか」とか「やりたきゃやれば」みたいな、ちょっと冷たい視線をしていたんです。
佐藤
はい。
松本
劇団員の椎名(亜音)くんとかは、割と率先してやっていたんですけど。でも最近、やっぱりそういうのも大事だな、って思うようになって、ちょっと協力するようになりました。
佐藤
そうですね。みんなが笑顔になれる系のサプライズなら。それでいい宣伝にもなるじゃないですか。ちょっと(数字を意識した)イヤラシイ思考回路ですけど。座組みが仲いいんだっていう感じだと、みんな動画とか写真とかをSNSに上げるから。
松本
やっぱり、役者さんもネタが欲しいんでしょうね。
佐藤
そうですね、宣伝材料になるから。
松本
やっぱり稽古場って殺風景だし、同じこと繰り返すから、何らかのイベントが欲しいんですよね。
佐藤
そうなんです、何らかが…。
松本
そういうのも、考えます?
佐藤
そうですね~。ただ、やったほうが良いと思いつつ、意外とあまりやらないんですよね。

新しいアイディアを

佐藤
今、1つ考えているのは…。だいたい、役者に一人ずつコメントをもらうっていうのが多いじゃないですか。
松本
ああ、動画みたいなやつ?
佐藤
そう!ひとりひとりが「誰々でーす」みたいなのではなくて、もう稽古期間の休憩中にこっちが役者のところに行って「今どんな感じですか?」と聞くみたいな形をやろうかな?と。役者さんがカメラ前に来て「はい!なんとかです!」ではなくて、こっちが行って。
松本
ああ。インタビューみたいな?
佐藤
インタビューみたいな。まあ勿論、了承を得ますけど。
松本
ドキュメンタリータッチみたいですね。
佐藤
そうそうそう!「どうですか?今日は?」「今日はあそこのシーンをやって…」
松本
面白いかもしれないな。
佐藤
あれねえ、やっぱり「こんにちは、誰々です!」って動画はファンの人は見るけど、僕ら見ないんですよね(笑)。
松本
正直僕も見ないですね。
佐藤
でも今やってる『くるおしき綾、絢爛なれ。』(2019年2-3月)のコメント動画は、単純に図師(光博)さんが面白いから見てました。
松本
ああ、図師さんがインタビュアーみたいな役割だったやつだ。
あの、それで思い出したんですけど、前に話してた、稽古場にカメラマン入れる件あるじゃないですか?
佐藤
ああ、はい。
松本
あれもその一環と言えば一環?
佐藤
もちろん。うちは次も入れますね。
松本
それは、いつ思いついたんですか?こういうのってアイディア勝負でしょ。初めてやった人が誰かはわからないですけど、僕的にはENGさんが初めてになります。
佐藤
え~っと『LAST SMILE(2015年7月)?いや、『THReeS(2014年9月)?とにかく平林純子さんの…
松本
うん。メイクの?
佐藤
メイクの。彼女のところにレオ君(大柳玲於さん)という子がいて。
松本
はい。
佐藤
最初は、そのレオ君が来て撮ってくれてたんです。彼はその時20才とか21才とかだったんで、多分写真の勉強として単純に撮りたくてやってくれてたんです。ただ、その写真がすっごい良い写真ばかりだったから、「これ、いいじゃん!」と思って、その後も必ずカメラマンを探すようにしてます。見つからない時は役者、例えば図師(光博)さんとか。図メラがあるじゃないですか。(図メラ/ズメラ=図師さんのカメラ)
松本
図メラ!要は、カメラの性能ですよね?
佐藤
そうです、そうです!
松本
まあ、今iPhoneとかスマホのカメラの性能が上がって深度なんかもいじれるようになってきてますが。
佐藤
やっぱ携帯で撮ると、なんかくすんでるんですよね(笑)。
松本
要は、やっぱり背景がぼけて、ピントが役者さんにしっかり合ってるから、例えすっぴんで稽古着でもかっこよく見える。
佐藤
そうですよね。だから(役者だけどカメラを持っている)長橋有沙さんとかにもお願いしたりしてますよ。それに、ゲネプロの写真とかも絶対撮ったほうが良いので…。
松本
いや、まあヌルーっとこういう話題になりましたけど、工夫に対して先駆者じゃないけど、そういう感じがあるんですよ。
佐藤
え~、いや~、ほんとですか?(笑)

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松本
いやいや、それって楽しいですけど、なかなか出ないですよねぇ。
佐藤
ああ、そうか。
松本
僕、この間『劇シナ(劇作家と小説家とシナリオライター)(2018年11-12月)の時にお客さんの感想を(テロップで)入れた宣伝動画を作って。
佐藤
ああ!あれ最高ですね!
松本
あれはちょっと僕、発明したかな?って思ってる。演劇界では最初にやったかな!(笑)
佐藤
しかも、僕はスキルがないから、あの動画は作れないですからね。
松本
ああ、そっか。
佐藤
はい、すごい発明でした!
松本
なんかそういうのは、ちょいちょい思いつくのがいいのかな?とかね。
佐藤
いいですね!

パンフレットの情報量

佐藤
次にやろうと思っているのが、パンフレットに稽古場日記を付けようと思って。僕はずっと稽古場に居るのに、ただ本当に見ているだけだから。今日はこんなシーンをやりました、今日は誰々君がめっちゃ失敗しました、みたいなことを書くだけなんですけど(笑)。
松本
ああ!映画のパンフレットとかにありますよね。助監督さんとかの制作日誌!
佐藤
そうそうそう!それみたいな!どうせずっと居るから。
松本
うん、面白いと思いますよ。
佐藤
今は載ってないんですけど、以前のENGのパンフレットには豆知識のページがあって、役者のどうでもいい情報が1人10個くらい細かい字でびっしり書いてあるんですよ。今はさすがに石部さんとかが、もう出す情報がないのでやってないんですけど。
松本
ああ、毎回ずっと出演しているから?
佐藤
そう(笑)。パンフレットを買った時にまず、ファンの人は役者の写真があったら嬉しいでしょう?
松本
うん。
佐藤
でも文章も欲しい。だけど…なんかね、別に全然いいんですけど、否定するわけではないですけど、対談とか座談会とか。
松本
はいはい。
佐藤
そういうのをやったとしても、上手いこと良い話が取れたら良いですけど、実際そうでもなくて。だいたいみんな気を使ってそんな良い事言わないんですよ!(苦笑)あっこれ、これダメです。(今回の対談に)使っちゃダメですよ!座談会やってる団体を全員敵に回すことになるから!(笑)
松本
(笑いながら)ある程度良さ気なら出しちゃいますよ。前回4人でやった座談会みたいなのは特に。
佐藤
(弱々しく)そ、そうですか…。
松本
でも、確かにパンフレット用の座談会は難しいですね。20~30分撮るんだけども、今日みたいな1対1の20~30分よりも、全員が満遍なく話すことや文字になることに気を使うと。
佐藤
うん、うんうん。
松本
ま~あ、当たり障りのないワードしか上がってこないんで。
佐藤
そう!内容もそうだし、実際(パンフレットに載せる形に)作るのも大変じゃないですか?
松本
うん。
佐藤
もちろん、この対談も大変だとは思うんですけど。
松本
そうですね。
佐藤
だから、座談会のページじゃなくて自分で稽古場日記を書いてみようかと。
松本
ああ、そう繋がるのね。
佐藤
字が読みたい人絶対いるので。あと、やりたくてやってないアイディアでパンフレットの端っこに…、ほら、漫画雑誌に豆知識みたいな欄が。
松本
あ、少年ジャンプの!脇の!
佐藤
そう!そう!そうです!この細い欄に「実はなんとかキャラは何々が好き」みたいな裏話が書いてあったりするのとかやってみたいです。
松本
ああ良いですね!それ!パンフレットの文字と写真の話って面白いですね。果たしてどちらにニーズがあるのか!?
佐藤
写真じゃないですかね?でも、台本も結構売れますもんね。うーん、どちらなんですかね?
松本
製作の大変さっていうのは劇団だからあるんですけど、僕もやっぱり読み物は沢山あるほうがいいな、とは思いますね。
佐藤
そうですか~。だって、今パンフレットは2,000円位で売ってますものね。
松本
(6番シードも)2,000円かな。
佐藤
やっぱりそれでもみなさん買って下さる。けれど2,000円の本って、本屋に行ったら凄い情報量の本がある。だから本当に、物販を買っていただく方々は有難いですよね。
やっぱ、お祭りの縁日みたいなものじゃないですか、物販コーナーって!
松本
うんうんうん。
佐藤
本当に凄く有難いです。有難いです!こんなん言ったら買ってくれなくなっちゃうかな?大丈夫かな?(笑)
松本
大丈夫です!大丈夫です!大丈夫!(笑)
佐藤
大丈夫かな?(苦笑)

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(つづく)