今年一年振り返り①「KAIRO」

やっべ、もう28日だ!
毎年年末に、備忘録も兼ねて今年一年の作品を振り返るコラムをやってますが、やっべ、間に合うかしら汗。

今年はまあコロナな一年でしたね。来年もまだ続きそうなので、なんとなくまだコロナについては総括できない感じですね。そんな中、おかげさまでこれだけ沢山の作品をやることが出来ました。奇跡。感謝。

2月
UDA☆MAP NEXT「KAIRO」演出
4月
6バンjackNG「MIX UP!!」公演中止
5月
6Cオンライン「SIX-DOORS」脚本・演出・編集
6月
6番シード「ミキシングレディオ2020」脚本・演出
8月
UDA☆MAP Plus「ホテルニューパンプシャー206」
9月
マルガリータ企画「ホームセンターズピリオド」短編脚本提供
UDA☆MAP10周年記念公演「新宿アタッカーズseason3〜孤島の洋館殺人事件〜」脚本・演出
11月
6番シード「ザ・ボイスアクター〜アニメーション&オンライン〜」脚本・演出
12月
Bobjack Theater ボブ宴「唯一度だけ」短編演出

その他
6Cイベント「六番寄席」
映画「ディープロジック」全国上映
6Cイベント「24時間TV」

おお、なかなかの本数ですな。公演中止になった公演、オンラインでやった作品、緊急事態宣言明けに必死の思いでやった公演、いやあ大変な一年だったなあ。これはもう、本当に。

さあて、ガシガシ振り返ろう。
まず一発目は、

2月
UDA☆MAP NEXT「KAIRO」
大塚萬劇場

演出を担当しました。宇田川さんプロデュースのUDA☆MAPの新しい形というふれこみで、脚本は細川博司さんのゴリゴリのSFものでした。

遠い未来の管理された砂漠都市に、起きるはずのない殺人事件が発生。事件解決に派遣されたのは、教会と大寺院の特命の使者。
そうらもうゴリゴリだろう。宗教観も絡んできて、改めて細川さんの知識はすごいなあと思いました語彙力。栞菜さん、小林亜実さんのw主演を中心に全員女性という座組み。確かに新たな試み感がビンビンにありました。

演出は面白かったですね。絶対私は書かない作品。攻めた公演コンセプト。屈強な女優陣。と「演出」の仕事がここまで面白いものなのかと実感するくらい面白かった記憶しかない。

これまでやってきた本数は少ないのですがね、僕演出だけの仕事もわりと定評ある気がする。こないだ終えた「唯一度だけ」も地味?だけどいい仕事したなあって思ってるし笑。
確か扇田さんと24時間TVで話したのかな?演出って結構最初はざつ〜にホンを読むんです。その後しっかり落とし込んでいく。このざつ〜に読むが結構大事な気がしていて、それはきっと最初に観客が観た感覚に近いのかも知れない。
だからKAIROは、超難解な設定やセリフのオンパレードなんだけど、そこは一旦気にしないで笑、ざつ〜に読んだ感覚を大事にしました。単純にこのシーンワクワクする、とか、ここ長いなあ、とか。そうすると演出にメリハリが出て、シンプルに見やすくなっていくんですよね。僕の演出はわかりやすいという評価を頂けてるとしたらこの部分かなと思います。そして今作は、わかりやすさをけっこうブレンドすることでちょうどいいだろうなとこれも最初にざつ〜に読んだ時に直感しました。細川テイストを生かした難解気味な演出も考えたのですが、わりとすぐやめました笑。

その後キャストと一緒に細部を練っていく作業に入ります。これはかなり根気よくやりました。栞菜さんなんかはかなり細かいところまでこだわって作り上げていってましたね。自分の脚本作品でもありますが、わかんない部分は「わかんない」って言ってキャストに知恵を借りることがあります。これがまた面白い作業でもある。今回は毎日それでした。休憩時間にキャスト同士がずっと話し合ってた気がする笑。

僕がざつ〜に読んで面白いなと思っていた序盤の流れに、実が時系列に齟齬があることがわかり、細川さんも巻き込んでえっちらこっちら直したりもしました。整合性は必要ですが、ざつ〜に面白いと思った感覚は変えたくない。それで何度も作っては壊し、みたいなことをやりましたね。

演出として気に入ってるのは、やっぱりあの光の演出でしょうな。「全灯」と呼んでいた舞台美術の蛍光管(LED)が一斉点灯するシーンは何度見ても楽しかった。

作品の象徴ともいうべき長女ザインを演じた那海さんがよかったなあ。狂気と品格、人間味と無知覚な感じ、の対比といいますか。DVDは彼女のラストの笑顔を生かした編集にしてみました。

コロナはというと、この頃「どうやらやばいのが来てるぞ」とちょうど始まった頃、警戒が強まってきた頃でした。まだ即座に公演中止というほどではなく、面会の時キャストがマスクをして出ます、というアナウンスが出ていたくらいの時期でした。この公演を終えたあたりから一気に社会は大変なことになっていったように覚えています。

ちなみに稽古序盤に私は数年ぶり2度目のインフルエンザにかかりました笑。熱が下がっても1週間稽古お休み頂いて(多分今ならリモートで演出とかしてたかも)シーンごとのアクティングエリア、立ち位置や移動などをミザンスを図に書いてそれを宇田川さんに預け、絵作りを進めてもらいました。

この作品は続編化の構想もあるみたいですね。細川さん曰く、続編は小林さん演じた「乾ディーヴァ」が主人公の物語らしい。実現したら面白そうだなあ。楽しみに待ちたいと思います。

次回振り返りは、公演中止となった
4月 6バンjackNG「MIX UP!!」です。

トムコラム