今年一年振り返り⑥「ザ・コメディショーSecond」

今年一年を振り返っています。やばい、1日でも落としたら、年内間に合わない。とはいえ焦らずにね、丁寧に振り返りたいと思います。

前回、いっこ飛ばして9月の「まなつの銀河にゆきのふるほし」を振り返ったので、ひとつ戻って、

8月
松本プロデュースvol.2
「ザ・コメディショーSecond」
下北沢亭

私がやりたい人とやりたい企画をやる「松本プロデュース」の第二弾です。春先に、やりたいっ!と急に火がついて、そこから丸山正吾君と平山よっちさんを呼び出して、コロナが5類になったこともあり、久々にお酒を飲みながら企画を語りオファーをしました。その時は互いのスケジュールの良き時にということで、来年にもなりそうだったのですが、8月が行けそうだということで、わりと早い実現となりました。そして女優陣は若林倫香さんと舞川みやこさん。けっこうな回数ご一緒してきたお二人。若林さんにはラブレターの気持ちで、絶対一人芝居やってほしいなと思いました。舞川さんはとにかく真面目でストイックなタイプの人なので、これまでコメディは苦労されてるイメージでしたが、この地獄のカリキュラム松本プロデュースで開花してもらえるんじゃないかと思いました。そして実際すごかった。バズった。各作品ごとに振り返ります。

☆幕開き四人芝居「いきなりクライマックス」
コメディショーはこの軽くて短い感じのまさに前説的なお芝居からスタートする感じがいいですね。作中の小道具は全部私が作って、その製作動画を劇団のYouTubeでアップしています(今後も増える予定)。

☆鬼畜!ダンスレッスン!
今公演で多分一番大変だった演目。そもそもホンが上がったのが5日前くらいで(色々悩んで遅くなってしまいましたてへ)、そこから同じ曲のダンス(シュリクラテーマ曲を使わせてもらいました)が少しずつバージョンアップしていくという振付をよっちさんが付けてくれたのですが、稽古場で舞川さんの頭から煙が。トップバッターの芝居のカロリーじゃねえのですよ。稽古場がリアルに鬼畜状態でした。よっちさんにホンマ感謝です。

☆ガチャガチャ倶楽部
若林倫香一人芝居。舞台上に可愛い女の子とガチャガチャの機械があるだけの一人芝居って面白そうだな、から着想しました。でもガチャガチャに一ミリの興味もなかったので、実際ガチャステーションとか行って、いろんなガチャガチャを引きましたが、まったくハマりませんでした笑。宇田川さんがガチャガチャの機械を持っているのでお借りして、構造を研究し、5打目までは計算して出せることが分かりました。6打目がグレーゾーンで、ここに置いたらある程度の確率で出てくるけど100%ではない、という結論に。お芝居の小道具は100%じゃないと役者さんが大変なことになってしまいます。ただどうしても100にならなかったので、若林さんにはこのパターンになったらこういう芝居を、といくつかの指示を出していました。実際ウォーズマンが出た回は狙いではなく、その100にならなかった確率の回です。まあ逆にそういう時ってウケるんですけどね笑。若林さんは顔芸に磨きがかかってますね。女優さんに言う言葉ではないですね。あのガチャ引く前のダンス?は彼女のアイデアです。彼女の変人センス、好き。

☆落語風演劇「柳の下に」
よっちさん演じる若手落語家が落語の練習をするうちに現実と落語がリンクするというお話。第一回でも図師さんで同じテイストの芝居をやったのですが、今回は怪談風に。
今回のコメディショーをよっちさんとやりたいと思った大きな理由に、以前舞台で見たよっちさんの落語がすこぐ達者だったからというのがあります。ご本人は「台詞が覚えられるかな」とか言ってましたが、稽古初日にそこそこ外してくる強者でした。この落語風演劇はコメディショー名物みたいになるかもですね。

☆「道里塚教授の渋滞学」
丸山正吾一人芝居。これはね、丸ちゃんの完全優勝ですよ。15分の物語で5000字!余白ゼロのお経のような脚本なのです。自分で書いといてなんなんですが、これ本当に人間は覚えられるのかなとか思ったりもしました。丸山は入れてきましたねえ。そして凄まじいスピードでまくしたてる。教授の大学の学生が渋滞によって起きてしまった悲劇を推理しながら、かつ渋滞から脱線しながら語っていく物語なのですが、もうなんか講談とかの芸の域に達してましたね。お見事でした。ちなみに参考にしたのは西成活裕さんの「渋滞学」という書籍で、西成教授はこないだひるおび出てました。ゆるやかな坂道が一番渋滞が起こりやすいんですよ。そんなことで?とか思うかも知れませんが本当らしいです。

☆ロキソニンフラペチーノ
これもお気に入りの作品だなあ!あれ、今年の俺アカ脚本賞はコメセカか?
水産系の会社で働くOL二人が、近所のスタバ的カフェで愚痴を言い合い、お互いをディスり合う日々を、まるでループものように描いた物語なんだそりゃ笑。ちなみに水産系の会社は書き始めてからノリで思い浮かびました。
舞川×若林だったのですが、そしてこの演目が一番最初に稽古を始めて、すごい時間取ったのですが、相当な難易度だったようです。二人は何度も心が折れてました。
ループものって、役者さんほんとしんどいんだね。台詞がちょっとずつ変わる。今どこってなる。一個前や一個先のループの台詞言っちゃう。みたいな。昔アリスさんでナナフレって作品をやったんだけど、千秋楽までみんな袖で台本確認してたもんな。
でも僕は大好きです。ホンのクオリティも良かったと思う。これも俺アカの短編部門候補作だな。

☆保健室のジョージ
もう舞川優勝でしょう。保健室のルミ先生をやってもらったのですが、登場して「蒸し、暑いわ」で爆笑ってなんだよ。あのキャラは稽古初日から舞川さんが持ってきたもので、僕はそれを見て、その声を聞いて、この人は次のフェーズに行ったなと思いました。そしたら屋根裏のバーニャカウダーであのママですよ。今脂乗ってますね舞川さん。
この演目も第一回にもあって、一応続編です(ルミ先生以外は前回キャラ)。4人の大の大人が学園コメディをやったら面白いな、その一点です。次回があったら、やっぱり入れたい演目ですね。

という訳で、今回も大大大濃厚なコメディショーになりました。この松本プロデュースはお客さまの評判も大変良いですし、そして業界と言いますか、演劇、役者界隈でも、話題になってきて嬉しい。それは「激烈ハード」「みんな2度とやりたくないと言う」という褒め言葉笑。

ここで告知です。松本プロデュース第3回が決定しました!
今回は「ザ・コメディショー」ではなく、長編舞台です。
四人の俳優が、うるう年に4つの物語と4つの登場人物に挑むタイトルずばり「FOUR.」です。うるう年の2月29日に開幕です。
石部雄一、椎名亜音、エリザベス・マリー、永石匠の4人と新たな演劇にチャレンジします。
「演劇を、浴びろ!」
お楽しみに!

松本プロデュースVol.3「FOUR.」公演情報はこちら

次回は、
10月
劇団6番シード結成30周年記念公演第二弾
「屋根裏のバーニャカウダー」
です。お楽しみに!

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