今年一年振り返り⑤「ホテルニューパンプシャー206」

今年一年を振り返っています。

8月
UDA☆MAP Plus「ホテルニューパンプシャー206」

ここからまさにコロナ対策が日常になっていくいわゆるwithコロナになっていきます。油断は全くずっとできませんが、ノウハウがある分気が楽になってきました。それでも一年を振り返ったら、このパンプが一番大変な時期だったんじゃないかな。第二波ど真ん中で、社会的な雰囲気としてはミキシングよりも難しかったように思います。稽古場が変わり、床がリノリウムになったので、床を1時間ごとに雑巾掛けするのが新たな日常になりました。でも稽古場が常に清潔であるというのは、当たり前のようですが1番の感染症対策だと思いますね。だいたい稽古が佳境になる頃に掃除してても埃が溜まってきたりするのですが、常にクリーンだったこの稽古場で、そして8人という少人数の座組みだったので、絶対(感染は)出ないんじゃないかという自信がありましたね。

コロナ話はこれくらいにして、この作品は私のデビュー作。初演は2000年でした。ラブホテルの一夜を描いたシチュエーションコメディの現代劇ですが、20年も経つとなんか古典の匂いがしてくるんですよね。あれ何だったんだろう。古い、って訳でもないんだけど、なんか勝手に味が出ちゃってる、そんな脚本でした。

主演はKAIROに続いて小林亜実さん。高宗歩未さん、梅田悠さんの3人の訳あり女達の物語。これはよく覚えてるんだけど、デビュー作として女性を男性目線で綺麗に描きたくないという想いがあったんですよね。女達のグズグズを描きたかった。これはやっぱりその後も私作品の根底にどうやらあるようです。なんかそっちのほうがカッコいい人物に思えるんだよなあ。

小林さん、よかったなあ。顔がもうね、ヨゴレな感じをね、しっかりコメディでやってくれましたね。KAIROではクールな役で、ちょいちょい稽古場で変顔を見てて、コメディで組んだら絶対面白いだろうなと思ってたのでまさにって感じ。高宗さんもKAIROではシリアス班でしたが、ぶっ壊れてましたね。あの里子という役はイカレプリティなので、プリティな部分も必要なんです。あれだけイカレててもね。それをよく体現してくれたと思います。
梅田さんは場末のホテトル嬢という設定。たみしょうさん(民本しょうこ)が敏腕刑事役で、最初ここ逆でしょ、と思ったのですが、宇田川から意外性のキャスト配置が面白いと聞き、確かにそうだなと思い、そして確かにそうでした。梅ちゃんのホテトル嬢理香は案外回し役というかしっかりした部分も必要である意味影座長って感じをよくやってくれました。あ、そうだ、お客様からどうやって作ったの?ってけっこう感想頂いたあのオープニングは、暗転フラッシュでダイジェストやりたいって言った私のアイデアを梅ちゃんがすべてカウントに落としてアドバイスしてくれた賜物でひた。

男性陣だと髙木の聡ちゃんはあのポジションだと出色に輝きますね。はまり役だと思います。あの隠し部屋は劇場にあったスペースで、下見に行った時に「ここパンプやるための劇場やん!」とテンションが上がりました。

このホンは、古典的な雰囲気すら出てきたので、いろんな女優達で今後も見てみたいなと思いました。
初めて使ったキーノートシアターはこじんまりとしたいい劇場だなと思いました。小作品をやるにはぴったりですね。大人数芝居は向かないけど。
あとあのカラフルなラブホのセットは若き女性美術家の西山さんがデザイン。デビュー作だと思います。あの熊のぬいぐるみは今はうちのソファーに「パンプくん」として鎮座しています。犬のちくわとは仲が悪いです笑。

こんなポスターも今年ならでは。

そしてUDA☆MAP二連発。今年最大の山場と言ってもいいこの作品。
次回は「新宿アタッカーズseason3〜孤島の洋館殺人事件〜」です。

トムコラム