INDEX
細川博司×扇田賢×佐藤修幸×松本陽一 前編(1)
肩書きの違い
- 松本
- お忙しいところお集りいただき、ありがとうございます。今日はよろしくお願いします。
- 一同
- よろしくお願いします。
- 松本
- 改めて全員の肩書きを比べてみると、みなさん舞台を作る上でトップというか、代表なんですけれど、ちょっとずつ違うんですよね。
僕が劇団6番シードの代表であり、脚本家と演出家をやっている。で、細川さんは今、プロデュースユニットになっているんでしたっけ?
- 細川
- ええ、そうですね。バンタムクラスステージはプロデュースユニットという形です。
- 松本
- そして、脚本家であり、演出家。
- 細川
- はい。
- 松本
- で、扇田さんは劇団ボブジャックシアターの代表で、
- 扇田
- 代表で、演出家だけをやる。脚本は書いてないです。
- 佐藤
そうなんですよねー。
- 松本
- 最後に、佐藤さんはプロデュースユニットENGの代表であり、プロデューサーである。
- 佐藤
- あと、役者です。
- 松本
- というわけで、作品もしくは物語、舞台を作る上で、ちょっとずつ違う立場のこの4人が、どんな感じで舞台を作ったり舞台公演をやっているかっていうのをたっぷり話していきたいな、と思います。
- 一同
- はい。よろしくお願いいたします。
松本陽一
6番シード代表
脚本家・演出家
細川博司
バンタムクラスステージ代表
脚本家・演出家
扇田賢
ボブジャックシアター代表
演出家
佐藤修幸
ENG代表
プロデューサー・役者
- 松本
- ちなみに、みなさんの面識ってどんな感じなんですか?
- 佐藤
- えーっと。
- 扇田
- えーっと、この前初共演しました(笑)。
- 佐藤
- 面白かったなー(笑)。
- 細川
- 僕は扇田さんとは、一緒にお仕事はしたことないんですけど。
- 扇田
- でも、クジカンで一緒に。
- 細川
- あー、そうそう。『クジカンキカク』
そこでご一緒したのと、あとはお互い似たような仕事をやっているので、あれどうやった?とか。
っていう、お正月にここ でやる演出家をボロカスに使う企画がありまして(笑)。
- 扇田
- あれ、大変でしたね、とか。
- 細川
- 愚痴の言い合いみたいな(笑)。
- 松本
- 「あれ」じゃ全然分かんないです(笑)。
- 細川
- なんか、まあその色々あるんですよ。愚痴の言い合いが。
で、佐藤さんとは、一回、飲みの席でご挨拶したぐらいですよね。
- 佐藤
- はい。そのあと、『花魁の首』 と『サンサーラ式葬送入門』 を観ました。おもしろかったです。
- 細川
- ありがとうございます。
- 佐藤
- いえいえ(笑)。
- 松本
- なんとなく、どっかでつながっててみんな知ってると思ったら、そうでもないんですね。
- 扇田
- そんなにつながってはいないですね。
- 佐藤
- 僕は、細川さんとは特に。
- 細川
- そうですね。
- 松本
- 僕ものぶさん はあんまり…。
- 佐藤
- あ、ないですね。
- 松本
- 今回 出ていただきましたけど。
- 佐藤
- 上映会とか。
- 松本
- あとは2回飲んだぐらいですよね(笑)。
- 佐藤
- そうですね。だからいまだにちょっと(笑)。
- 扇田
- でも僕と松本さんも、最近ですよね。
- 松本
- そうですね。扇田さんとはここ数ヶ月で急激にずっと一緒ですけど、それまではそんなに。
- 扇田
- 去年か一昨年の、デッドリー のトークイベントが初めてですよね。
- 松本
- あー!そうです。
- 扇田
- 同じ『アリスインデッドリースクール』シリーズを過去に演出したことがあって、そのトークショーで初めてお会いしたんですよ。
- 細川
- 同じ作品を演出した者同士のトークだったのね。
- 松本
- そうです、そうです。
だから、LINE交換したのなんて、つい数ヶ月前ですよ。
- 佐藤
- 僕、細川さんと今日LINE交換しましたよ。
- 細川
- おっさん同士が(笑)。
- 佐藤
- うさぎのスタンプが送られてきました。
- 一同
- (爆笑)
演劇サークルと商業演劇の狭間で
- 松本
- じゃあ、みなさんのこの世界に入ったきっかけから聞いていきますか。
- 細川
- あー、いいですねー。
- 松本
- 誰からでもいいですよ。
- 佐藤
- 若手からいきます?
- 松本
- ちなみに、年齢はどうなってるんですか?
- 細川
- 僕44。
- 佐藤
- 39。
- 松本
- 43。
- 扇田
- 僕ら 43です。
- 佐藤
- あー、先輩!
- 細川
- あー、俺一番上だ。
- 佐藤
- 僕、30代。
- 一同
- (笑)
- 扇田
- そんな変わんないでしょ!(笑)
- 細川
- すぐ老眼になるから。
- 一同
- (爆笑)
- 扇田
- 俺まだ老眼になってないから。
- 佐藤
- 自分、ちょっと下なんですね。
- 松本
- じゃあ、後輩から。
- 佐藤
- 僕のきっかけは高校の演劇部です。
- 一同
- おー!
- 細川
- つまんね!
- 佐藤
- つまんないでしょ?
- 一同
- (笑)
- 佐藤
- 高校の演劇部で『バンク・バン・レッスン』DMFです。 ってのをやって、中央大学に入ったら、サークルが同じ『バンク・バン・レッスン』をやってたんですよ。面白くて観に行って、そこから中央大学第二演劇研究会ってところに入って。ずっとやってたら、一年下の後輩になんかヤバい奴がいて、「なんだこいつヤバい」と思ったら、それが宮城 だったんです。そいつがなんか勢いあるやつで「劇団を旗揚げしようぜ」って旗揚げしたのが僕のいる
- 扇田
- え、じゃ、大学時代から?
- 佐藤
- 大学時代からですね。だからもうすぐ会って20年ですね。
- 松本
- この世界に入ってキャリア20年ぐらいになるんですね。
- 佐藤
- だから僕、大学の演劇サークル出身だったんで、たまに商業系の舞台に出させていただいたときに、全然勝手が分かんなくて、もうめちゃめちゃ浮きました。叩かれたし。
- 細川
- なんか、しきたりみたいなの分かってないみたいな?
- 佐藤
- ぜんっぜん分かってなかったです。
- 細川
- ちょっとありますもんね、そういうのね。
- 松本
- 僕は社会人劇団からスタートなので、むしろ大学の劇団からの人達の方がしきたりがありそうな気がするんですけど。
- 佐藤
- 僕達なんて、サークルの延長ですよ。
ウェーイ!って言ってお芝居やって、ちょっと芸能人の人たちとお芝居やるようになってシュンってなって。
「ヤバい人達だ!」「スゴい人達だな!」みたいになって。
その後、30歳ぐらいになったときに宮城が、アニメやゲーム、マンガのシナリオの方で結構食えるようになったんですよ。
- 細川
- ふん、ふん、ふん。
- 佐藤
- そうしたときに、劇団員が、「どうしよう、俺ら」みたいになっちゃって。
- 松本
- いいじゃないですか。ねえ?
- 佐藤
- でも、宮城は劇団の公演を打たなくなるじゃないですか。
- 松本
- あー、代表が売れるやつね。
- 佐藤
- そして、某制作会社からプロデューサーが来て、宮城を使って公演を打ち始めたんですよ。
- 松本
- あー。
- 佐藤
- その時に、僕らはそれまで主役とかだったのに、脇役になっちゃって。
- 細川
- うわ、リアルー!(笑)
- 松本
- ちょっと軽ーくキャリアを聞こうと思ったら、いきなりとんでもない話になっちゃった(笑)。
- 細川
- いきなりフルスイングやん(笑)。
- 松本
- だから、あれでしょ。作家が売れて、劇団員が脇役に回るパターンの劇団ってことですよね。すげーありますよね。
- 佐藤
- 折り合いがつかなくなるんですよ。
- 細川
- いい役は、お客さんを呼べる芸能人とか…
- 佐藤
- そうです、そうです。イケメンがやることになる。
- 一同
- (笑)
- 佐藤
- しかも、僕ら劇団員はそういうところの住み方も分かんないから、
- 細川
- はいはいはい。
- 佐藤
- イキってたんですよ。もう「なんだよ!」とか言ってて。
そんな態度で、うまくいくわけないじゃないですか。
- 一同
- (爆笑)
- 松本
- そりゃそうだ。
- 佐藤
- いや、こっちが悪いんですよ。
でも、うまく住み分けいかなくて、辛かったんですよ、すごい。
「どうしたらいいんだ。なんで俺が小道具やってんだろう」「俺、小道具なんてやったことないよ」みたいになってて。
- 細川
- いいっすね、いいっすね(笑)
先輩プロデューサーの伝説
- 佐藤
- もうこれどうしようかな、ってなったときに、そのプロデューサーの方に「一回演出やったら?」って言われたんですよ。
- 一同
- ほぅー。
- 佐藤
- その時に相鉄本多劇場をそのプロデューサーが借りてくれて、宮城の台本で演出をやったのが、ENGの第一回 です。それがプロデュースをやるようになった始まりです。
- 松本
- 演出だったんですね。
- 佐藤
- 演出してました。
- 扇田
- じゃあ、最初は別にプロデューサーがいたってことですか?
- 佐藤
- いえ、きっかけをくださっただけなんですけど。ただ、その先輩プロデューサーのことを僕はあまり好きじゃなかった。今は本当に感謝してますし、とてもお世話になった方なんですけど。
- 一同
- (笑)
- 佐藤
- 話が長いんですよ。
- 松本
- あれ?さっき楽屋で人の悪口は絶対言わないようにしようって言ってたのに。
- 一同
- (爆笑)
- 佐藤
- いや、それは僕が悪いんです。
その先輩にはプロデューサーとしてすごく影響受けてるんですけど、一個だけ欠点があって、めっちゃくちゃ話が長いんですよ。
その人の伝説があるんです。
ある人のところに彼から電話がかかって来たんですけど、ずーっとしゃべってるんです。すでに2時間ぐらい経っていて、その人はその時点でブチーンってなっちゃって、何も言わずに電話を置いたんです。
- 松本
- 通話中のまま携帯を置いたんですね。
- 佐藤
- で、そのままパスタを作り始めたんです。パスタを茹でて、ソースを作って、
- 細川
- まさか?(笑)
- 佐藤
- ソースかけて、
- 細川
- そんな?
- 佐藤
- パスタ盛り付けて、携帯取ったら、まだしゃべってたっていう。
- 一同
- (爆笑)
- 扇田
- 相手の反応関係ないんだ!(笑)
- 佐藤
- 相槌とか関係ないんだ、この人、って思って(笑)。
- 扇田
- すげーな。
- 佐藤
- だから、しょうがないから、そのまま、「はい。はい」って言って電話を続けるんですけど、もう布団に寝ながら携帯をここ において、「はい。はい。そうですね」ってやってた。
- 一同
- (爆笑)
- 佐藤
- でも、そのぐらいのバイタリティがなきゃダメなのかなって。
- 扇田
- え、じゃあその人からプロデュースを引き継いでやってるってこと?
- 佐藤
- いや、引き継いでるんじゃなくて、ENGはENGで独立してプロデュースします。
その制作会社さんは前より数は減ったけど、今でもたまに独自でやっています。
えー、はい。一応役者とプロデューサーの始まりを話したということでした。
- 細川
- うらみつらみがすごい(笑)。
- 一同
- (爆笑)
- 佐藤
- ないです、ないです!いや、めちゃくちゃ感謝してるんです。今だったら笑い話で言えるけど、っていう感じで。
- 松本
- プロデューサーの話は扇田さんもいろいろ聞きたいって言ってたけど、一回置いておいて、キャリア紹介に戻りましょうか。
(つづく)