サカキバラダイスケ×松本陽一(1)
今回は『人生の大事な部分はガムテで止まっている』大正時代編のセットの舞台上で対談をさせていただきました。
なお、サカキバラさんは裏方が表に出てもなーという想いと、若干の恥ずかしがり屋さんのため、顔出しNGとなっております。ご了承ください。
元6番シード劇団員の照明屋さん
- 松本
- どうですか?ご自分の作った照明の中で(笑)。
- サカキバラ
- 熱い!(笑)
- 松本
- これが普段役者さんが見ている景色なんですよね。
- サカキバラ
- ひどいですよね。
- 松本
- 熱いですし、まぶしいですね。
- サカキバラ
- まぶしいですね。
- 松本
- 今、何灯ぐらいですか?
- サカキバラ
- 今回は少ないですね。たぶん、70無いぐらいです。
- 松本
- はあー。多いときは何灯ぐらいなんですか?
- サカキバラ
- 劇場のサイズによっても全然違って、KASSAIみたいな小劇場だと100弱から100ちょいぐらいで、六行会みたいなホールだとだいたい200ぐらいですね。
- 松本
- 200。
- サカキバラ
- はい。
- 松本
- 照明…そう言えば、舞台の照明さんって、何て呼ぶんですか?照明家でいいんですか?
- サカキバラ
- 一応、舞台照明、って言いますよね。自身は、照明さんとか、照明屋とかって言う人が多いですけど。なんか“家”っていうとすごく“アーティスト”みたいな感じですよね。
- 松本
- そうですよね。“屋”が合ってるのかな?
- サカキバラ
- んー、“屋”の方が近いような気がしますね。海外だとデザインだけっていう人もいるんですけど、日本の場合は仕込み作業のようなガテン系の仕事が一緒に入ってくるんで、どっちかっていうと“屋”の方が近いですね。
- 松本
- 舞台美術だと、これ“美術家”ですよね。 をやってる青木 さん のようにデザインがメインで、作るのは別の人の場合があって、それは
- サカキバラ
- “美術家”ですね。
- 松本
- 照明をやり始めて何年ぐらいなんですか?
- サカキバラ
- えーっと、結構経ちましたね。15年目ぐらいです。
- 松本
- 15年目。あのー、僕たちは割と結構な歴史がありまして。
- サカキバラ
- ふふふふふ。そうですね。
- 松本
- この対談にお呼びするのは何かちょっと聞きたいことがある人、っていうイメージなんですけど、一番大きいクエスチョンは何だろう?って考えたときに、
- サカキバラ
- はい。
- 松本
- サカキバラさんがスタジオトルクだとか稽古場を運営し始めた頃だったかな、「将来の目標や夢って何ですか?」って質問する機会があって、その時の答えがすごく面白くて。覚えてます?
- サカキバラ
- いえ、あんまり。
- 松本
- 「ボクはスナフキンになりたい」って言ったんですよ(笑)。
- サカキバラ
- ハハハハハ。
たぶんそれはトルクとかよりずっと前ですね。KASSAIの始まったぐらいとかもっと前かもしれないですね。
- 松本
- 僕はサカキバラさんとは、照明屋さんとしての付き合いが一番長いですけど、そこから色んなことをやり始めたので、それで聞いてみたんだと思うんですけど。
- サカキバラ
- はいはい。
- 松本
- その答えが“スナフキン”っていうのがサカキバラさんらしいなっていう(笑)。
- サカキバラ
- 実際、今でもなれるならスナフキンはいいですよね。
- 松本
- 僕、よく考えると、スナフキンをガッツリ知らないんですけど。なんとなく、こう、風の吹くまま、みたいな感じですかね。
- サカキバラ
- そうですね。うん、イメージとしてはそういうところかな。
- 松本
- なので、色んなことをやられていると思うんですけど、その色んなことを聞きながら、スナフキンについて聞いていいですか(笑)。
- サカキバラ
- いいでしょう(笑)。
- 松本
- えーっと、照明屋さんになったきっかけは何なんですか?
- サカキバラ
- あ、でも偶然ですよ。もともとは、大学のとき人が足りないって連れていかれたバイトが舞台の現場だったんで、それだけです。
- 松本
- じゃあ、舞台に特に興味があったわけでは?
- サカキバラ
- 思い入れがあったとかそんなこともないですね。
- 松本
- これは話していいですか?元劇団員だったっていう。
- サカキバラ
- あー!!はいはい。そうですね。別に知られて困ることでもないので。
- 松本
- これ、なかなか面白いですよね。元、6番シードの劇団員だったんですよね(笑)。
- サカキバラ
- ねー。
- 松本
- すごく短い時間だったんですけど。1年ぐらいでしたっけ?
- サカキバラ
- 1年いなかったと思いますよ。だから1回しか舞台に出ていないんで。
- 松本
- そんときもフラッとやってきて、フラッと去っていったっていう印象があって。
- サカキバラ
- というよりも、 1回出たときも、自分で照明プランをやったから。
- 松本
- ああ、もう照明兼任でやってたんでしたっけ?
- サカキバラ
- 桐の…タイトル何でしたっけ。
- 松本
- 『桐の林で二十日鼠を殺すには』
- サカキバラ
- その時の、ザムザ阿佐ヶ谷の公演は、出ながら照明プランをやっていて。
- 松本
- はい。
- サカキバラ
- ちなみに、その時にオペ をやっているのが鈴木君なんですよ。
- 松本
- あー、あの、弟子といいますか…(笑)。
- サカキバラ
- それを考えると鈴木君も古いんですよね。
- 松本
- 『桐の林』は確か2000年なので17年経ってるんですね。
- サカキバラ
- あー、なるほど。
- 松本
- キリが良かったので覚えてるんですよ。
じゃあ、照明を始めたのはそれより前っていうことですよね。
- サカキバラ
- そうですね。だから15年ってことはないのか。もうちょっとですね。
- 松本
- ウチの劇団に入ろうと思ったのはなんでですか?
- サカキバラ
- んーと、ちょうど仙台から東京に引っ越した時期なんですよ。
- 松本
- そうですね。
- サカキバラ
- それで、どうなのかなこっちって、って思ったのが一番大きいかもしれないですね。
知り合いもいなかったので、あんまりその時のことは覚えてないんですけど、たぶんあの時の感覚としては、なんか勢いがあるなと思ったんだと思います。
- 松本
- ふーん。その頃はすごく劇団員が多くて、
- サカキバラ
- ねー。多かったですよね、あれ。
- 松本
- だいたい30人ぐらいいたと思うんですけど。「来るもの拒まず去る者は追わず」みたいな時期だったと思います。
- サカキバラ
- 上石神井時代ですね。
- 松本
- そうですね。あの一軒家で稽古をしていた時期ですね。
ということは、仙台のときに照明を始めたと。
- サカキバラ
- そうですね。
- 松本
- でウチの公演に1回出て。
すごく覚えてますよ。ゲネだったかな、本番だったかな?本番だった気がするんですけど、舞台袖でいびきかいて寝てたんですよ(笑)。
- サカキバラ
- ハハハ!そう、そう、そう、そう。
ボクはいびきをかいているのは自分では分からないので、あー、寝てたーって。
- 松本
- あのー、ちょっとウトウトするぐらいなら分かりますけど、いびきかいて寝てやがる、あの新人!と思った記憶がありますね(笑)。
- サカキバラ
- まあ、だって…、言うてもですね…、いや、入ってすぐか…、すごいなー(笑)。
- 松本
- ちなみに今おいくつですか?
- サカキバラ
- 今43ですね。
- 松本
- あ、じゃあほぼ同い年なんですね。
- サカキバラ
- そう、ボクの方がひとつ上ですね。
- 松本
- そうですね。
で、劇団やめた頃のことを全然覚えてないんですけど。なんかサッと来て、ふっと去っていったように見えるんですけど。
- サカキバラ
- うーん。まあ、始めたとかやめたとか…。
- 松本
- なんかそんな感じでもなかったですよね。
- サカキバラ
- 劇団員にそもそもなっていたのか?っていう問題もありますよね。
- 松本
- なんかそれぐらいのレベルですよね。
- サカキバラ
- うーん。1回公演に出て、そのまま照明になっちゃったんで。
- 松本
- そうですよね。その後6番シードの公演で照明をやっていただいてたので、なんかお別れしたというよりは、セクションが変わったみたいな(笑)。
- サカキバラ
- そうそうそう(笑)。
(つづく)